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クロスオウヴア 20
■■■ 邂逅 2 ■■■
「おにーいちゃーん。」
二人がパソコン談義に花を咲かせていると、背中ごしに佑右を呼ぶ声が聞こえた。沙紀だ。
「だから、その呼び方、やめろってるのにな。」
佑右はつぶやくと、眉をしかめながら、でも心の底から嫌そうではなく、ゆっくりと振り返った。沙紀は同級生らしき女の子と一緒だった。佑右の動きにつられて、恭平も後ろへ振り向いた。
「あっ」
「あっ」
後ろを
クロスオウヴア 18
■■■ DNA 5 ■■■
「デザイナー・チャイルド? 人間が人間をデザインして作ることができる?」
佑右の思考は激しく回転していた。
「そうか、DNAのどの部分の情報がどういう体を作るか、ってことまでが分かったんだから、これをプライ人のDNAプログラムにそのまま転用すれば、おれたち『人間』をコンピュータ上に再現できることになる。」
テレビの特別番組が終わるとすぐに、佑右はDNAの情報
クロスオウヴア 17
■■■ DNA 4 ■■■
「本日よりホームページ上において、解読されたDNAのすべての情報が公開されていますが、中野教授はこのことをどうご覧になりますか。」
「私も先ほどそのホームページを見て参りましたが、いやあ正直言って驚きましたね。」
「ほう」
「本当に詳しいデータまですべて公開されているんですよ。」
「詳しい?」
「ええたとえば・・・そうですね、発生における個体の特徴を決めてい