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プラント会社が、プラントに固執するとダメになる理由━━柳井工業は太陽光発電に挑戦しています

前回のnoteでは、「私がTwitterをお休みしている理由」と「プラントに固執してはいけない理由」をさらっとお話しました。

今回の内容は、その延長線上です。プラント会社が、プラントに固執してはいけない理由についてお話しします。

また、ずっと温めてきた新規事業である「太陽光発電」についても触れています。

8年前、プラントへの「依存」に危機を覚えた

私が「プラントに固執してはいけないかも……」と思うようになったのは、実は約8年前からでした。そう、かなり前からなんですよ。

原因は、プラント業界の性質によるものでした。

定修工事とメンテナンスの違い

柳井工業の売上で要となるのは、4年に1度行われる「定修工事」。大規模な工事で、かつ、高技術が求められるので、単価も必然と上がってきます。

ただ、定修工事ならではの悩みがあります。仕事がコンスタントに続くわけではないということです。

定修工事が隔年で行われており、かつ、時期的に春と秋に集中します。そのため、夏と冬は一気に仕事が減ってしまうのです……。

プラント依存から脱却するまで

定修工事に固執しないために、「メンテナンス」を

当然、定修工事のみに依存してしまうと超危険です。先述したように、年に1、2回しか実施されないので、仕事量のばらつきが生じてしまうからです。

ばらつきを埋めるべく、「メンテナンス事業」にも注力。誤解を恐れずに言えば、定修工事のリスクヘッジです。

幸い、クライアントにも恵まれ、メンテナンスの軌道も乗っていきました。

順調!と思うのも束の間。メンテナンス特有のリスクが待ち構えていました。

結論からお伝えすると、双方がなあなあになってしまう可能性があります。

前提として、「常駐」とは特定のプラントの、専属メンテナンスをしています。

定修工事よりは単価が下がりますが、年単位での契約なので、売上の安定に繋がるのは大きな魅力です。

しかし、年単位で継続的にお仕事をいただけるからこそ、単価がほぼ上がりません

しまいには、断るとこれからの仕事がもらえなくなるリスクがあるので、結構シビアな世界なんです。

メンテナンスのリスクヘッジが見当たらない恐怖

さらに、メンテナンスの課題について、もう少し触れておきます。

私がずっと懸念していたのは、メンテナンスのリスクヘッジが見当たらないことでした。

理由はいくつかありますが、主な原因は、メンテナンスの必要性が確信されていないからだと考えています。

日本のプラントは、なかなか壊れません。修理やメンテナンスをしなくても、年中無休で問題なく動き続けます。

そうなると、お客様は「わざわざお金をかけて、高頻度でメンテナンスをしなくても別にいいかな……」と思うのも頷けますよね。

プラント会社だけど、プラントに固執するのはやめよう

定修工事のリスクヘッジに、メンテナンスを選択しました。しかし、肝心のメンテナンスのリスクヘッジが見当たらない始末です。

であれば、逆転の発想ですが、「プラント会社だけど、プラントに固執するのはやめよう」というアイデアが浮かびました。

ここで、柳井工業が挑戦している「太陽光発電事業」と「太陽光EPC事業」がでてきます。この違いは、後ほど詳述しますね。

3.11をきっかけに、再生可能エネルギーの可能性が爆発

ここで簡単に、太陽光発電に着目した理由についてお伝えします。

今から約10年前に、東日本大震災(以下、3.11)が起きました。3.11をきっかけに、日本では原子力発電が使えなくなったのです。

そこで、原子力発電の替わりに、再生可能エネルギーが着目されるように。「太陽光発電の時代が来る」と確信しました。

実は、太陽光発電の事業をより推進できたのは、父のおかげでもあります。父が太陽光パネルを持っていたのです。

活かさないと、宝の持ち腐れになる。そう、直感的に感じました。

そこで、「これまでの柳井工業が培った技術を活かし、横展開できないか?」を模索しました。

FITが味方に。融資を受けて、一気に攻める

さらにタイミングよく、日本ではFITという制度が爆誕。再生可能エネルギーの普及が目的となった制度です。

「再生可能エネルギー事業をはじめてくれたら、国が20年間分を購入して、面倒をみますよ」というものです。詳細を引用しますね。

FIT(Feed In Tariff)とは、再生可能エネルギーの普及を目的とした 「固定価格買取制度」のこと。太陽光などの再生可能エネルギーで作られた電力を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取るように国が定める制度で、住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度は2009年11月にスタートしました。

いまさら聞けない…?そもそもFITとは

約6年前、柳井工業は太陽光発電事業を加速させるためにも、銀行から融資を受けました。

FITが導入されたとはいえ、まだまだ太陽光発電の前例がなかった。しかし、立ち止まっていては物事は進ません。

リスクを取り、攻めの姿勢で挑みました。この攻めは当たりでした。すぐに黒字化できて、今に至ります。

柳井工業が挑戦している「太陽光発電事業」と「太陽光EPC事業」の違い

太陽光発電は、とても複雑です。ここで簡単に、事業の違いをお伝えします。

・太陽光発電事業:電力会社に売電する事業
・太陽光EPC事業:太陽光発電所を作る事業

太陽光発電と太陽光EPCの違い

2020・21年にかけて、太陽光発電の施工に挑戦しています。

皮肉なことに、プラントのメンテナンスよりも工数は少ないのに、施工料はほぼ変わらず

今までのメンテナンスで培った施工は、無事に太陽光EPC事業でも活かせるので、一石二鳥です。

今後の柳井工業は、太陽光発電事業に力を注ぎつつ、太陽光EPC事業でも「施工のプロ」を目指していきます

・・・

かなり長くなりましたが、今回は、柳井工業がプラントに固執してはいけない理由と、太陽光発電の挑戦記についてお話ししてきました。

まだまだ語り足りないので、事業の仕組みは、また別のnoteで深掘りしてお伝えできればと思います。

詳細を知りたい方は、ぜひフォローしてお待ちいただけると嬉しいです。

取材・文/ヌイ(@nui_nounai

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