FinanceにおけるITの進化とその活用

デジタルテクノロジーを考えた際の現状理解と今後の活用

日系企業のビジネスがグローバル化・複雑化するに伴い、企業はこれまでもERPなどの情報システムを整備し、業務改革の努力を続けてきた。

しかし、変化の激しさ等で負荷は増大しているという印象を私は持っている。現場の疲弊感は否めない。

昨今では組織の活力維持のために「働き方改革」が喫緊の課題となっており、将来の人口減少に備えなければならない。

CFO組織におけるテクノロジー活用の歴史

【1970-1980年代】
システム基盤としてはメインフレームと呼ばれる大型汎用機の全盛時代である。SAP社は1979年にメインフレーム上で動く多通貨多言語のシステム「SAP R/2」をリリースし、欧州で成功を収めた。一方、日本では個別の会社の要求に基づき機能を一から構築する、いわゆるスクラッチ開発が主流であった。
ユーザはメインフレームに接続された専用端末から伝票入力、消込、締め処理、帳票印刷などの処理を実行していたが、PCも普及していなかったりで、多くの業務はまだ手作業だった。

【1990年代】
コンピュータのダウンサイジングが進み、メインフレームは凋落した。システム基盤はクライアントサーバ型が主流に。
また、PC普及によりテクノロジーは省力化のための個別ツールではなく、データ共有など、業務基盤となった。同時に、企業の基幹業務システムにも大きな変革が行われた時代である。
クライアントサーバ型ERPとして「SAP R/3」がリリースされ、「Oracle EBS」がそれに続いた。日本企業も会計システムにERPを採用し始めたのもこの頃である。いわゆる「2000年問題」で多くの企業がシステムを刷新した。
こうした動きの中でERPはスクラッチ開発の会計システムを凌駕し、市場規模を拡げることになる。パッケージの機能や「ベストプラクティス」という業務設計の考え方も徐々に浸透し始めたのである。

【2000年代】
技術的にはインターネットの通信速度がさらに高まり、ERPを統合環境で利用することが可能になってきた。
一方、業務面での変化は大きく、グローバル化したビジネスの把握やIFRS対応など、変革を求められる時代だったと言える。

【2010年代】
多様なデジタル・テクノロジーが急速に実用化された。
AIやRPAなどのワードは私自身よく聞いた馴染みのあるものだ。
会計システムの基盤としては、データベースがインメモリー化され、劇的に高速な処理が可能となり、クラウド型の製品も多数登場している。

【2020年代】
ここは私見となるが、財務・会計業務改革の主戦場はもはやERPという情報システムではないような気がしている。
というのも、最近登場する技術はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉に総称されるように、業務や組織の在り方をドラスティックに文字通り「変革」する非連続な変化であるからだ。
効率化のためのツールが業務のプラットフォームになり、さらに今後は業務全体を包み込むインフラとなっていくことが予想される。

FinanceにおけるITの現状

2000年代以降、先に書いた通り、海外売上比率の増大、M&Aの増大、IFRS移行などがあり、どれも企業グループ全体のシステムガバナンスに対する要求レベルを大きく変えてきている

海外子会社を例にとるが、ここでも複雑な問題があると私は思う。
経営に関する数字を見たい本社としては、「経営状況の報告」を現地社長に対して求める。しかし、現地子会社社長の評価は、売上高や利益に基づくため、会計システムをはじめとするERPに投資するインセンティブは働かないのだ。
これは大きな障害となりうる。

また、連結経営管理システムを考えた際に「どのようなKPIを誰が見るのか」については様々な意見がある。

ZACのようなパッケージ型の中位ERPでも、対象は国内の企業であるが、事業部門が見たい集計軸と管理部門が集計したい内部セグメントの違いから、事業部が集計軸のフラグとして情報項目を使い、経営企画や管理部が改めてアウトプット帳票から月次の集計のためのフラグ付け作業をしているケースがある。

現場との合意は重要だが、最後はCFOがリーダーシップをもってトップマネジメントや事業部門と話をつけ、ベクトルを一致させる作業に関わっていかなければならない。そう、CFOにはリーダーシップが不可欠だ。(自戒も込めて書いた。)

人材

グローバルな情報システム整備を含む、難度の高いプロジェクトを推進するための本社人材は、多くの場合不足している。
私も今の会社で次に求められる役割はそこだろうと当たりをつけている次第だ。

海外子会社でも現場業務を知っているのは現地社員である。
つまり、現地のメンバーに英語で的確に状況を説明できる人間が、経理財務部門にもシステム部門にも必要である。

かくいう私も、英語はほとんど話せず、この前受けたTOIECでやっと800ちょうどだった。

海外とのコミュニケーションの機会を設けるなど、長期的な施策もひつようであるし、プロジェクトマネジメントのスキル、業務理解、会計知識、文化理解、語学力など結構求められる要件は高い。

私の話で恐縮だが、
TOIEC800・ZACの導入プロジェクトマネジメント経験・簿記2級以上の知識・経営管理業務経験などが、下地としてはあると思っている。
もちろん、LEVEL1ともいうべき、ばらばらな状態でまだまだ磨く必要アリだ。

グローバルプロジェクトを運営していける人材を育てることは重要になってきている。

まとめ

FinanceにおけるIT活用の現状と今後の課題について書いた。

昨年の中小企業診断士試験の勉強で情報技術に対して勉強したことや仕事の経験も合わさり、まとまった概観的文章が書くことができた。

今回の文章は主に、中堅クラス以上の企業向けとなりそうだが、CFO組織というテーマで企業の競争力を維持および強化するためには重要なテーマであったはずだ。

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