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「名言との対話」1月30日。鈴木修「トップダウンは、トップが現場に下りること」

鈴木 修(すずき おさむ、1930年1月30日 - )は、日本の実業家。

1953年3月中央大学法学部卒業。中央相互銀行(現在の愛知銀行)入行。1958年にスズキの2代目社長の鈴木俊三の娘婿となりスズキに入社。ピンチに陥った1978年6月に代表取締役社長に就任。2000年6月から代表取締役会長。2008年には8年ぶりに兼務で 社長に復帰している。社長就任時には1700億円であった売上高をインド市場などの開拓で 3兆円企業にし世界メーカーに成長させた。2015年にようやく社長職を長男に禅譲した。

2019年9月に行われたトヨタの豊田章男社長との対談の映像「ここだけの話」(聞き手は小谷真生子)をみた。2019年にスズキは、電動化に強く研究開発費が10倍のトヨタと資本提携をしている。

社長就任直後に、女性の社会進出にあわせて47万円で発売したアルトで成功した。そして社内は大反対だった1980年代のインド進出によって、大衆車市場のトップになり、現在ではシェアは5割を超えている。「組織はもろい。トップダウンでやるから組織が強くなる」「ボトムアップはコストアップ。トップダウンはコストダウン。下からの積み上げで決めようとすると、議論百出て時間ばかりかかる。トップダウンこそコスト削減の近道だ」という言葉は不思議に思ったが、「トップダウンはトップの号令で動くことではなく、トップが現場に下りること」と真意は正反対だった。

「コスト削減は結果だ。現場に金が落ちている」「一円刻みでものは考えなければならない。一円ですよ、勝負は」と、徹底した現場主義者だ。「奇策じゃなしに、誰に何を言われようとも自分の実力を過信せずに続けることが大切」、「大事なのは、独りよがりの経営にならないよう、社内外の情報がきちんと集まってくる仕組みをつくることだ」と、「中小企業のおやじ」という姿勢を貫いている。

新聞や雑誌の報道で辣腕の強権型リーダーだとの印象を私は持っていたが、「組織はもろい」とし、役員を使うのではなく、理解を求めて、その部下に伝えてくれよ、という発言は意外だった。

トップの健康問題で娘婿として社長に担ぎ出され、自らの後継者と目した娘婿も2007年に死去している。激動の40年を超える長い期間、ひとり丈夫で指揮を執り続けたのは鈴木修だった。スズキは1920年創業で昨年100年企業となった。「どこかで、何かで一番になるんだ」という考えだった鈴木修は、インドで一番、軽自動車で一番を達成した。10年後の2030年に100歳となる鈴木修は会長として、2021年の年頭には日経ビジネスのインタビューで「脱炭素を進める」と、軽自動車の電動化を命がけでやると答えており、卒寿を迎えたこの人は意気軒高だ。

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