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「名言との対話」3月28日。桂三木助(3代目)「二十年たって似合いの好い夫婦」

三代目 桂 三木助(かつら みきすけ、1902年3月28日〈戸籍上は1903年2月17日〉 - 1961年1月16日)は、落語家。

6代目春風亭柳橋に弟子いり。その後、放浪、廃業、踊り御師匠、そして賭場への出入りなどのすさんだ生活を送る。賭場では「隼の七」という名前で知られていた。

踊りの師匠時代の25歳年下の弟子と恋愛するが、相手の親からは「三木助を継げるような立派な芸人になれたら」という条件を出される。心機一転、精進し3代目を継ぐことができて晴れて結婚にこぎつけた。

若い頃はあまりぱっとしなかったが、壮年以降に名人となった遅咲きであった。特に練りに練った「芝浜」という演目は素晴らしく、「芝浜の三木助」と呼ばれるほどになった。

『噺家が詠んだ昭和川柳 落語名人たちによる名句・迷句500』を手にした。

桂三木助の川柳を以下に記す。

紋付が板につく迄小十年

新聞の頼りにならぬ事を知り

呑めぬ奴受け放しで膳の上

初鰹買えない奴が冷奴

手拭いで鼻をこすって強意見

近頃の米屋ようやく世辞を云ひ

悪口をいわれ乍らに金を貯め

世話女房大根一ツを使い分け

文楽・志ん生・柳好そろって花見かな

競輪の帰り自転車を見ると腹が立ち

祝い物半分返る気で祝ひ

耳たぼをまづ染めてから下をむき

気短なくせに一番釣りが好き

銀時計売った人が二階借り

女房の帯から這入る年の暮れ

二十年たって似合いの好い夫婦

鼻の穴黒い炭屋の律義めき

笑ふ子のゑくぼ晩酌のぞきこみ

安物のオーバー目方の重いこと

セッカチな客は弓取立ってみる

千両の灯り吉原三下り

鼻毛抜きクシャミしている暇なこと

桂三木助の川柳は、女房、夫婦、家族の描写も多い。また、はなし家らしい目の付け所が随所にあり、まるで落語の世界のようだ。弟分である川柳は自然を詠む兄貴分の俳句と違い、人間、人情、世間を描写しようとする。短歌は心を詠ずる短詩である。川柳という人間諷詠は詠む人の人生観がにじみ出てくる。余技である桂三木助の川柳を読むと、桂三木助の目、そして人柄がよくわかる気がした。

恋女房を持つ三木助にして、似合いの夫婦になれたのは20年の歳月をくぐってからなのか。夫婦の道は険しく、奥が深いなあ。

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