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「名言との対話」9月10日。アーノルド・パーマー「絶対勝つと思ったら、勝つ。高く昇ろうと思ったら、高いところを思え。勝つのは、たいがい「勝てる」と思っている人間だ。

アーノルド・ダニエル・パーマー(Arnold Daniel Palmer/1929年9月10日-2016年9月25日)は、アメリカのプロゴルファー。

1954年に全米アマゴルフで優勝しプロに転身。1958年に4大メジャー選手権のひとつであるマスターズで初優勝を飾る。その後、4大メジャーの全米オープン(1960)・全英オープン(1961/1962)を制し、グランドスラム(4大メジャー制覇)に大手をかける。しかし、最後の全米プロでは、周到な準備で機械的に淡々とバーディーをとるスタイルのライバルの11歳年下のジャック・ニクラス(「帝王」と呼ばれた)に阻まれ、幾度も優勝争いを演じたもののついに優勝することはできず2位が3回で、グランドスラマーになることはできなかった。

パーマーが繰り広げた熱戦の数々は彼をテレビ時代最初のスターゴルファーに押し上げ、競技スポーツとしてのゴルフの魅力を知らしめた。通算成績はマスターズ4勝(1958,1960,1962,1964)、全米オープン1勝(1960)、全英オープン2勝(1961,1962)。全米プロは2位3回。通算62勝は歴代5位。

ゴルフはいかにミスを少なくするか、という保守的な要素を色濃くもつスポーツである。そこにパーマーは「攻撃=チャージ」という概念をもちこみ、ゴルフをエキサイティングなスポーツに変え、熱狂的なファンを生みヒーローになった。どんな難しい位置からもピンを狙った。攻守を兼ね備えたゴルファーのジャック・二クラスとは何度も死闘を演じている。

ゴルフの本質である保守性と、挑戦による醍醐味の人気の狭間に立ったパーマーが語った言葉は実に魅力的だ。ただ、平均的あるいは私などそれ以下のプレーヤーは真似をしてはいけない、非常に危険な名言集だ。

パーマーのゴルフ名言集。

・カップをオーバーするくらいに強く打つのは相当勇気を要するが、ロング・パットが入るときは、ほとんど大多数の場合強く打ちすぎたと思うときだ。臆病なパットにはチャンスはない。

・どうして慎重なショットを打つ必要があるのでしょう。慎重に打とうが、大胆に打とうがミスすればどちらにしろ問題を抱えます。

・人が詩や美術館に見いだすものを、私は素晴らしいドライバーショットに見いだす。白いボールが青い大空に舞い上がり、頂点に届き、やがては芝に落ちてくる。ちょうど私がねらったとおりに。

・人生でもっとも大きな楽しみは人々が「できるわけがない」と思っていることをやってのけることです。

・私は子供のようにパットをしています。子供の時はみな何も怖がってはいなかったはずです。

・私がキャディに訊いたのはピンまでの距離だけだ。右や左に何かがあるからと思い悩んで、集中力を失いたくないからね。

・私は勝ち目が薄いように見えたとしても常に全力を尽くすことをやめなかった。私が勝負を諦めないのは勝てるチャンスが無いと思ったことがないからだ。

ちょっとした見栄が、ゲームを台無しにする。

・自信ある自己流は、自信なき正統派に勝る。

・練習をすればするほど幸運を手にすることになるだろう。

テレビでゴルフ観戦をしていると、「絶対勝つと思ったら、勝つ。高く昇ろうと思ったら、高いところを思え。勝つのは、たいがい「勝てる」と思っている人間だ」というパーマーの言葉を感じることがよくある。

4日目のバックナインの攻防をみるのはエキサイティングだ。自分の技術への疑念や、臆病さが顔を出して、守りに入り、自滅するトップゴルファーを私も何度も目にしている。

パーマーの得意な「チャージ」は、積極的な攻撃的スタイルで、先行する相手を激しく追い上げるという意味で使われる。ミスも出てくるが、それでも果敢に攻めていく姿に人々は心が躍り、残念がり、喝采をおくったのだ。パーマーは米国プロゴルフを隆盛に導いた第一人者で、「THE KING」と呼ばれた。パーマーは、記録より、記憶に残る名プレーヤーだった。

勝てると強く思っている人が勝つ。技術の優劣ではない。それは執念の差である。高校野球も含め、あらゆるスポーツにいえることだろう。

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