「名言との対話」 4月19日。中原淳一「「おしゃれな人」とは、どんな人でしょう? それは美しくありたいと思う心が、ことさらに強い人のことです」

中原 淳一(なかはら じゅんいち、1913年(大正2年)2月16日 - 1983年(昭和58年)4月19日)は、日本の画家、ファッションデザイナー、編集者、イラストレーター、人形作家。

昭和初期、少女雑誌「少女の友」の人気画家として一世を風靡。戦後1年目の1946年、独自の女性誌「それいゆ」を創刊、続いて「ひまわり」「ジュニアそれいゆ」などを発刊し、夢を忘れがちな時代の中で女性達に暮しもファッションも心も「美しくあれ」と幸せに生きる道筋を示してカリスマ的な憧れの存在となった。活躍の場は雑誌にとどまらず、日本のファッション、イラストレーション、ヘアメイク、ドールアート、インテリアなど幅広い分野で時代をリードし、先駆的な存在となる。そのセンスとメッセージは現代を生きる人たちの心を捉え、新たな人気を呼んでいる。「二宮金次郎が抒情家になったのではないか」(杉浦幸雄)と言われる画風だった。
私は2013年に、九段下の昭和館で開催された「中原淳一展」をみている。 「少女の友」「ソレイユ」などで女性を描いた画家であり、後年はファッションデザイナーとしても勇名をはせた。45歳心臓発作、46歳脳溢血、59歳発病、70歳没と病気に悩まされた人生でもあった。
今回、別冊太陽『中原淳一のひまわり』を入手して楽しんだ。それによると、1947年1月の創刊号から1952年12月号まで67冊の「ひまわり」を刊行している。創刊時は34歳であった。誌名は27歳で開店した淳一グッズの店「ヒマワリ」にちなんでいた。中原は毎号、心を込めて表紙画を描いている。毎号のようにスターたちが誌面に登場している。越路吹雪、音羽信子、八千草薫、淡島千景、有馬稲子、久我美子、高峰秀子、谷桃子、美空ひばり、、。北原白秋、西條八十、花森安治、堀文子、川端康成、蕗谷虹児、サトウ・ハチロー、火野葦平、壷井栄、高英男、、、、。「今月の読書から」欄の選者は、村岡花子だ。
以下、中原淳一の言葉から。
「こんな時代を乗り切って美しく愉しくといふのは、結局知性を高め、工夫する精神と美しさをキャッチする眼を肥やすことであろう」「「美」と感じることの極致は、結局清潔だということにつきてしまうもの」「幸福は一度手にとれば一生逃げてゆかないというようなものではなく、毎日の心掛けで少しずつ積み重ねてゆかねばならない」「いつまでも古くならないもの、それこそがむしろもっとも「新しい」ものだとはいえないでしょうか」
美しくありたいと思う心が強い、おしゃれな人になるには、「どなたでも、写真に撮られたり、人が見ていると思えば、特別に気をつけますが、その心づかいをどうぞ平生も持ち続けてください」と中原はアドバイスする。スターが美しいのは人に見られているからだが、そういう心づかいを持とうというメッセージだ。緊張感である。それは男女を問わない。

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