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「名言との対話」5月16日、澤田隆治「残さなあ、かわいそうやないですか」

澤田 隆治(さわだ たかはる、1933年昭和8年〉3月18日 - 2021年令和3年〉5月16日)は、日本テレビプロデューサーテレビディレクターラジオプロデューサーテレビランド代表取締役社長。享年88。

大阪府吹田市出身。神戸大学文学部日本史学科卒業後、朝日放送に入社。朝日放送「魔王」と恐れられるなど活躍、東販企画社長も兼務しプロデューサーとして大活躍する。1980年代の漫才ブームの仕掛け人でもあり、多くの芸人を育てている。

澤田のキャリアはヒット作品の連続だ。私が知っているだけでも、「スチャラカ社員」「新婚さんいらしゃい」「てなもんや三度笠」「伝七捕物帳」「裸の大将」「花王名人劇場」「ジュームイン!!朝」、、などがある。

『私説コメディアン史』などの著作、「NHK人間大学」での「笑い学コウザ」、『ABC落語ライブラリー』なども手がけている。そして「笑いと健康学会」の会長もつとめた。
放送芸術関係やアニメ、映画などの専門学校の校長としても人材の育成を行っている。亡くなる寸前まで、新聞連載、テレビ出演などで「喜劇」の歴史を語り続けた八面六臂の活躍をした超人である。

澤田の多彩な業績の中で特筆されるべきは、映像製作だけでなく、喜劇人たちの足跡の記録を残したことだ。『私説コメディアン史』、千ページを超える『笑人間』、『上方芸能列伝』、『笑いの放送史」、『笑いをつくる』『漫才ブームメモリアル』、『テレビは何を伝えてきたか』そして、花登や雁之助、永田キング、ルーキー新一さだまさし、森光子、ひょうきん族などを紹介した本も多い。軽く見られがちで、消えていった芸人たちへの愛情を感じる。

テレビの創成期の渦中にいながら、その流れを冷静に見つめ、そして喜劇という分野を、映像などの現物だけでなく、その意味と意義を問い続けた。「残さなあ、かわいそうやないですか」というように、深い愛情と強い意志で記録に残そうとしたのである。澤田隆治という希代の喜劇人の真骨頂はここにある。

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