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「名言との対話」2月28日。山下俊彦「一番気を付けなければならないのは報告ですね。それも、相談する形で報告するのが、一番大切です」

山下 俊彦(やました としひこ、1919年7月18日2012年2月28日)は、日本実業家松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)の3代目社長。

工業高校卒の叩き上げで、創業者松下幸之助による異例の大抜擢を受けて取締役26名中序列25番目から1977年に58歳で社長に就任した。この大抜擢人事は、体操選手の山下治広が披露した跳馬の技にちなんで「山下跳び」と呼ばれ話題になった。私が社会人になって数年しか経っていない北海道勤務の時代だったからよく覚えている。取締役の末席にもかかわらず、すけずけと意見を言っていたのを松下幸之助が見初めたのである。

以下、 飯塚 昭男『山下俊彦経営語録―企業変身を狙う松下電器産業の意識革命』などからの山下語録。

  • 短所を直すにはすごいエネルギーが必要さけど、長所を伸ばすのは楽である。

  • 人間をつくるということは、仕事をまかせるということ。

  • 無難な人事では意味が無い。意外性のある思い切った人事こそ人と組織を生かす。

  • 決定するのがリーダーです。結論は間違ってもよい。そのときにとれる最上の決断であればいい。

  • 再建のポイントは、会社の経営状態の悪さを従業員に正確に知らせることだ。

  • 社会を取り巻く環境の変化と、自分の仕事との関係をいつでも基礎的、歴史的にみつめよ。

  • 厳しい状況にあるからこそ、社内が団結し、新社長の色が出せる。花道(はなみち)論などナンセンス。

山下俊彦は住友生命の社長、会長を経て、松下政経塾理事長となった新井正明の対談集『心花、静裏に開く 人物となるために』で語りあっている本も読んだ。

山下俊彦は若い頃から「仕事は仕事、人生は人生」と割り切り、本をよみ、山に登り、碁を打った。自分の時間を大事にした人だ。社長になってからも、「(創業者に)気配りなんかしていたら、仕事にならんですよ」と思い切って仕事をした。

仕事に関する名言が多いが、特に「相談するという形で報告する」という知恵には同意する。そして山下俊彦は楽観的な精神で社長業をこなし、終わったら会長にはならずに、相談役に退いている。この人には何か人間としての健やかさを感じる。

山下俊彦経営語録―企業変身を狙う松下電器産業の意識革命

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