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「名言との対話」(戦後命日編)7月21日。江上トミ「ご家庭の幸せは愛情をこめた料理から」

江上 トミ(えがみ トミ、1899年11月19日 - 1980年7月21日)は、料理研究家。

熊本県出身。江上トミはテレビ放送の草創期からNHK『きょうの料理』や日本テレビ『キユーピー3分クッキング』などに出演して、暖かい笑顔と熊本弁で人気を博した料理研究家である。

「ご家庭の幸せは愛情をこめた料理から」をモットーとし、家庭料理の普及に尽くそうと江上料理学院を創設した。この学院はトミの長男の嫁の江上栄子と孫の江上佳奈美に引き継がれている。

嫁の江上 栄子(1935年9月28日生まれ)は、江上トミの長男と結婚し、トミが創設した江上料理学院院長を継いだ。 日本テレビの「キユーピー3分クッキング」に1981年4月から8年間出演した。「食べ物で人の心は養われる」「人間の基礎は食べ物。相手のことを考えた、心のこもった食べ物が、一番のぜいたく。これはお金を出して食べられるののではない」というトミの言葉に共感して自然に後継者となった。「お子さんにとっては、パパが作ったお料理ってどんなに嬉しいか」は栄子の言葉だ。

孫の江上 佳奈美(1959年2月27日生まれ)も、料理研究家で江上料理学院副院長をつとめている。佳奈美は義務感からではなく、自分から「やりたい」と学院を継ぐことを志願している。「愛する人とおいしいものを食べる喜びを一人でも多くの人に知ってほしいですね」。だそうだ。

1899年生まれの創業者のトミは「ご家庭の幸せは愛情をこめた料理から」、1935年生まれの嫁の栄子は「食を通じての幸せ作りのお手伝い」、1959年生まれの孫の佳奈美は、「家庭料理は家族を思って作るオーダーメイドの食事」、母と祖母の路線を踏襲しながら現代的な分野に挑むなど活躍の幅を広げている。

1930年に始めた東京市ヶ谷の江上料理学院は、すでに90年の歴史がある。男性、女性を問わず、また各年齢層が幅広く学んでおり、のべ10万人以上の卒業生を世に送り出している。トミの情熱と人柄は家族を後継者にし、三代続いており、時間の堆積とともに、歴史を刻んでおり、果たした功績は大きいものがある。

思い出すと、私は市ヶ谷のJICA(国際協力機構)で数年間、研修に関わったことがあり、そこへ向かう急な坂道の右側に「江上トミ料理学院」の看板があり、その都度、トミの笑顔を思い浮かべていた。

「料理」に関わった人たちの言葉を追ってみた。林原一郎(林原コンツェルン創業者)「料理の旨まさというものは家庭料理にとどめをさす」。 王馬 煕純(中国料理研究家) 「食事は、家族の健康はもちろん、家庭の団欒と幸福を象徴する場」。 村上信夫(帝国ホテル料理長)「「やはり平和が一番だ。うまい料理こそ平和の象徴。もう一度料理をつくろう」。

料理は幸せな家庭をつくりだす平和産業である。「ご家庭の幸せは愛情をこめた料理から」というトミの影響を受けた人たちは、100年近い歳月にわたって、料理を通じて日本の多くの家庭に幸せをもらたらしてきたのだろう。ここにも偉い人がいる。

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