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「名言との対話」 9月19日。山内溥「娯楽には常に“異質の創造”が必要、改良じゃダメ」

山内 溥(やまうち ひろし、1927年11月7日 - 2013年9月19日)は、実業家。

京都の花札やトランプを売る任天堂の創業者・山内房治郎の曾孫として生まれる。22歳の若さで玩具メーカーの3代目社長に就任し幹部全員を解雇する。在任52年間となったカリスマ社長である。独特な経営哲学とワンマン経営者として知られる。

38歳頃から、工学部卒の第一号の横井軍平がプラスチック製トランプでヒット、ディズニートランプで子どもにも浸透する。ウルトラハンド、ウルトラマシンが大ヒット。横井は初代『ゲームボーイ』から『NINTENDO64』などの初期の開発を担った

56歳頃、宮本茂がファミコンを開発し大ヒットし、つづいてゲームボーイ、『マリオシリーズ』、『ゼルダの伝説シリーズ』、『ドンキーコングシリーズ』の生みの親となった。

74歳頃、岩田聡を引き抜き、自身は第一線から引退し、集団指導体制に移行する。2002年、入社2年目の岩田聡は42歳で社長に就任。ゲーム人口の拡大を目指す方針のもと、5歳から95歳まで遊べるゲームをつくるという路線を進む。2004年、ニンテンドーDSを開発し、ソフト『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は「脳トレ」として流行語になり、社会現象にまでなる。2006年、1億台以上が売れた2006年のWiiを開発。これまでのゲーム愛好者とはまったく異なる層をつかみ任天堂を世界企業に押し上げた。

これらの逸材を用いながら任天堂を京都の花札やトランプの製造販売会社から、「ファミコン」などで世界的なゲーム機メーカーに育て上げた。任天堂を家庭用ゲームの普及とともに世界に広まった「マリオ」「スーパーマリオ」は、世代を超えて愛されるキャラクターとして定着した。

「ハード重視の会社には理解できないはず」「娯楽が目指すのは「役に立つ」ではなく、「楽しい」とか「面白い」なんですね」

平成30年間の総括として「時価総額の増加ランキング」の記事をみると、増えたのはトヨタ、キーエンス、日本電産、ソニーに続き任天堂は5位に入っている。減らしたのは、国際競争についていけなかった銀行、証券、電力、製造業などである。

「我々のビジネスはかってなかったものを世の中に送り出すこと。従来あったものをマイナーチェンジするという考え方はダメ。そこでは何が必要になってくるかというと独創力です」「娯楽に徹せよ、独創的であれ、身の丈を知れ」、、、。

新型コロナの影響で部品調達が停滞し生産に支障がでていたが、2020年4-6月決算では、「あつ森」(あつまれ どうぶつの森)などの売上の拡大で、前年同期比でソフトは2.2倍、ゲーム機は2.6倍の最終利益は6倍になっている。

任天堂は、花札やトランプのように「運を天に任す」という意味の社名であるが、時代の流れが速く、激烈な競争による浮沈の激しい娯楽業界をしたたかに生き抜いており、山内は運を天に任せてはいない。要所で人材を抜擢し、スカウトし、その都度、一緒に独創的な商品を開発し、業績を飛躍させている。創造的人材を見抜く目は確かだったことも成功の要因だった。娯楽産業は、楽しい、面白いということが最重要だ。改良ではなく創造、そして独創を追い続けた生涯だった。この人の人生は独創的人生であったと総括しよう。

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