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「名言との対話」8月6日。高島國男「人生の歩み、それ自身が芸術である」

高島國男(1924年8月6日〜2009年7月19日)は、出版社の創業者。

大阪生まれ。京都高等工芸(京都工業繊維大)で学ぶ。18歳で西田哲学を知り、19歳で親鸞に接した。戦後、1948年に出版社の創業を決意し「世界思想社」を創立する。同年、滝川幸辰京大教授を訪ね、「刑法各論」の執筆を承諾してもらう。1950年、京都大学文学部哲学科の聴講生となる。1951年、教学社を併設。高校社会科副読本「一般社会」「時事問題」を刊行する。滝川幸辰「刑法各論」を敢行。1954年、教学社「大学入試シリーズ」刊行。1956年、文部省検定の高校教科書「一般社会」を刊行。以後「政治、経済」「科学」「保健体育」などを刊行する。

『エチュードの青春志』(世界思想社)を読んだ。

青少年時代を死に至る戦争のなかで過ごした著者が、人生観・世界観をもちたいと考え綴った思索のドキュメントだ。

戦後友人たちが集まって日本の将来について語り合ったとき、結局は日本人に幅広い教養があったら戦争も防げたかもしれないと話し合ったりしている。日本人に「教養」をつけさせようと決意し、出版を通じて実現しようと出版社を創業する。人文科学と社会科学の出版に的を絞り、教養書と専門書を中心とすることに決めた。そして多くの良書を店頭におきたいと願い事業に邁進する。

広く世界を知り、自他共に互いによく知ることを念願として、雑誌に「世界思想」というタイトルをつけた。それを社名にしたのである。

若い時の日記や、「世界思想」に書いた小論が納められている。

「自身が馬鹿だと悟るときは己は馬鹿ではない」「凡人は自分のみの世界に生きている」「新しき世界は体験に依り生まれ、矛盾により発展する」

「私は、真の「知」を、広く伝える手段として、出版を選んだのである」

「自他共に恥じない目標とともに一歩一歩進んでいくのも、真実の「志」ということができる」

「学ぶ事」という小論があり参考になる。孔子「学びて之を習う、亦、説ばしからずや」。老子「学を断てば憂いなし」。荘子「学ぶ者は、その学ぶ能わざる所を学ぶなり」。

人生を美しく生きたい。人生自身を芸術としてみる。人生を一個の作品とみる。美的人生を生きる。高島國男は、毎日の歩み、それ自体を芸術にしようと考えていた。人生はアートである。

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