見出し画像

「名言との対話」5月28日。小島武夫「博打にロマンなどない。しかし、美学がある」

小島 武夫(こじま たけお、1936年2月11日 - 2018年5月28日)は、競技麻雀プロ雀士日本プロ麻雀連盟初代会長。享年82。

「ミスター麻雀」と言われた小島武夫にとっての「仰ぎ見る師匠」は、雀聖、大神と呼ばれた阿佐田哲也である。

若い頃は「常に高い手を狙い、手が安いときは相手の動きを見ながら極力勝負を避けるというシンプルな戦略」で鳴らした。振り返ってみれば、私は毎回和了しようとしていた。こういう考え方でも知っていれば、大学4年生で覚えた私のマージャンスタイルも変わったかもしれない。

「博打はどれだけ我慢ができるかの勝負である。ツキがないときは繊細に、ツキ始めたら大胆に。じっと我慢して風向きが変わるのを待ち、風向きが変わればおっかぶせていく。感情的になったら負け。怒るのも、浮かれすぎるのもダメ。どちらも思考力が鈍るので一番怖い。どんな戦いでも、冷静でいなければならない」。

「ギリギリのところで勝負するからこそ、感覚が研ぎ澄まされ、勝ちをグッと引き寄せることができるのだ」「 麻雀は、ディフェンスあってこそのオフェンスである」

マージャンは「選択」と「決断」の連続である。配牌は環境。ツモと打牌は、経験と実績。テンパイ・リーチは好機と挑戦。和了と振り込みは成功と失敗。得点や順位は成功の度合い。こうやってみると、麻雀は人生そのものだと改めて思った。

カネは豪快に稼ぐが、カネは残らない。そして「カネが貯まってしまうと、人間ろくなことがない」と言い、「カネを稼ぐのは大事なことだが、それ以上にカネを遣うことのほうが重要なのであるとのたまう。小島の博打人生は「借金に惚れ、借金を抱き、借金と付き合う」日々だった。麻雀という極道の道を歩いたこの人は、一度腰をおろせば、もう立ち上がることはできない、ということを知っていたのだ。進むしかないのである。

麻雀に関わる勲章は以下。最高位(第3・4期。無双位(第1期)。マイルドセブン杯(第1期)。最強位(第2期)。麻雀グランプリMAX(第1期)。モンド麻雀プロリーグ名人戦(第5回)。天空麻雀(第9回)。麻雀Battle of generation(第2期)。

「博打にロマンなどない。しかし、美学がある」という言葉のとおり、小島は「魅せる麻雀」が信条だった。麻雀に美学を求めるスターだった。その美学とは、「プロであるなら、ファンに感動を与えなければならない」であり、つまらない手を和了らない、そして入念にいい手を作り上げ、印象に残るような和了を見せて、ライバルを軍門に降らせる。そういう考えだったから、敵は恐れた。しかし、そして、だから、ファンが多かったのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?