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「名言との対話」12月18日。小田島雄志「このまま運命に耐えて生きるか、運命と闘うか」

小田島 雄志(おだしま ゆうし、1930年(昭和5年)12月18日 - )は、日本の英文学者、演劇評論家。

満州・奉天市(現瀋陽市)生まれ。東大時代に坪内逍遥訳『シェイクスピア全集』や、続いて読んだ『ハムレット』の原書に感動し、シェイクスピア研究を志す。東大教授。

シェイクスピアの全戯曲37編の個人全訳に取り組み、1973年から「シェイクスピア全集」(全7巻,白水社)刊行開始。1980年に全作品を訳了した。シェイクスピアの個人全訳は、坪内逍遙についで2人目[1]。1980年に芸術選奨文部大臣賞を受賞。 2002年、文化功労者。

小田島雄志『シェークスピア名言集』(岩波ジュニア新書)を読んだ。

小田島の好みで100本選び、解説と雑感を付加した本である。選んだ言葉はその人をあらわす。その中から私は次の言葉を選んでみた。

・終わりよければすべてよし。

・人間は、悪事をおこなう道具を目にすると、つい悪事をおこないたくなるものだ。

・、、、不幸というものは、耐える力が弱いと見てとると、そきに重くのしかかる。

・どんな荒れ狂う嵐の日にも時間はたつのだ。

・人間は習慣によってなんと変わるものか!

・人の一生は、善と悪とをより合わせた糸で編んだ網なのだ。

・、、、神々は、われわれを人間とするために、なんらかの欠点をお与えになる。

・人間の進化が定まるのは死を迎えてからだ。

他に、「幸福」についての名言も拾った。

・バラは香水となってその香りを残してこそ地上のしあわせを受けるのだ。(香水となった花は外観を失うのみで、冬を迎えてもその本質は美しい香りとなっていつまでも生き続ける。人間も結婚して子孫を残すのがしあわせ)

・こいつ(嫉妬)は緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、それをもてあそぶのです。(嫉妬は黄色。青い目に黄色がまじると緑色になる)

・甘いものほどとりすぎるとすぐに飽きがくる。そして胸が悪くなるほど見るのもいやになる。(程よく愛するのだ。それが永き愛の道。大人の智恵)

・名誉の道は非常にせまく。二人並んで通るほどの余裕はないのだ。

小田島雄志の名言も拾った。

「ぼくは、うぬぼれと卑下ではなく、自信と謙虚を内に秘めて生きていきたい」

To be,or not to be,that is the question.という有名な言葉がある。「生か、死か」「生きるべきか、死ぬべきか」と訳されている。今までよくはわからなかったのだが、小田島雄志は、to beを「このまま運命に耐えて生きること」、not to beを「運命と闘うこと」と説明してくれた。そして無為に生きるか、現状を打破するかというように更に説明してくれた。この名訳に納得した。シェークピア全集は、古稀で完訳した坪内逍遥、小田島雄志、そして最近松岡和子が27年かけてシェークスピア全集を完訳したというニュースが話題になっている。


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