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「名言との対話」12月27日。岡部冬彦「漫画というのは毎回毎回の一枚ずつが発明であり創造」

岡部 冬彦(おかべ ふゆひこ、1922年12月27日 - 2005年5月16日)は、東京出身の漫画家、科学ジャーナリスト。

東京美術学校図案科を卒業。学徒出陣でフィリピンへ。内地勤務で敗戦を迎えた。1947年、サン・ニュース・フォトスに入社。1952年、『週刊朝日』の『オヤカマ氏』など週刊誌連載のサラリーマンまんがを描く。1956年から『アッチャン』(『週刊朝日』)や『週刊文春』連載の『ベビーギャング』などを描く。ブラックユーモアの作品で人気を得た。1961年第7回文藝春秋漫画賞を受賞。

皮肉のきいた文章も得意だった。杉浦幸雄と組んだ『図解・淑女の見本』(1969)は好評だった。旅行や乗り物に関するエッセーでも知られ、『岡部冬彦のヒコーキ万歳』などの著書がある。1989年紫綬褒章、1995年勲四等旭日小綬章を受章。

岡部冬彦『男の学校』(産業労働調査所)を読んだ。

「男は人生の終りまでが、勉強の連続だ。勉強の努力をし続ける人生を男の学校」「酒は先輩にオゴられて飲むことに始まって、自分のポケットで飲むことで完結する」「妻と母親と職業婦人の三つを、一生やりとげるつもりで就職する女性はほとんどいない」。以上は、いかにも昭和の匂いがするが、この本は今から40年前の刊行だからしょうがないか。

「コッキョウの長いトンネル」というのは間違いだそうだ。日本国内には国境はない。言われてみれば確かにそうだ。クニザカイという言葉は今でもある。例えば、多摩境。例えば武蔵境などの駅名に残っている。「クニザカイの長いトンネル」と読もう。

「熟年」という言葉は、堺屋太一が言ったとある。45歳から65歳であり、岡部は「中年」と呼ぶと言い張っている。私はこの時代を「壮年」と呼んでいるのだが、岡部に寄れば、良き中年の持つ資質は、活力、思慮、豊かな経験であり、好奇心、ヤル気、思いやりを持とうと主張している。そのためには、情報の小銭、つまり小噺やジョークを用意しようと呼びかけている。

本職の漫画についてはどう考えていたのか。「漫画というのは毎回毎回の一枚ずつが発明であり創造であって、、、。」「漫画商売というものは、今までにないものを自分で創り出すということが根本」「漫画は自分の生活に密着したものの中から材料を探せば、それこそプロの描けないものが描ける」。、、、。

岡部冬彦は、漫画は発明と創造の世界であることを強調している。その源は好奇心と違いを発見する目だろう。その姿勢が、エッセイの名手にしたのだろう。「中年よ!(壮年よ!)、好奇心を持て!」というメッセージを受け取ろう。

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