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「名言との対話」11月26日。坪井清足「日本文化の特徴は弥生時代の農耕民の明るさにあるが、あらゆる時代に狩猟採集民の縄文的表現がにじみ出し、噴出する」

坪井 清足(つぼい きよたり、1921年11月26日 - 2016年5月7日)は、日本の考古学者。94歳没。

大阪府出身。 1941年京都帝国大学文学部に入学。1943年に召集、1946年3月に復員。復学後、京都大学大学院に進学。1950年から平安中学校・高等学校に勤務し、1955年に奈良国立文化財研究所に入所。1977年から所長。1986年に退官。

1986年から2000年まで財団法人大阪文化財センター理事長。また2000年から、財団法人元興寺文化財研究所副理事長、所長・理事長を務めた。

1983年度第35回NHK放送文化賞。1990年度大阪文化賞。1991年度朝日賞。1991年 - 勲三等旭日中綬章。1999年 - 文化功労者。

坪井清足責任編集『縄文との対話』(集英社)を読んだ。

1万2000年前の縄文時代草創期の土器は世界最古の土器である。縄を器面に転がす。立体的・彫塑的。空間充填願望。

米を主食とする稲作文化の弥生時代に獲得した農耕民の明るさが日本文化の特徴だが、あらゆる時代において狩猟採集民のもっていた縄文的表現がにじみ出し、噴出する。

古代美術の代表は埴輪である。聖域を守る円筒埴輪から始まる。やがて人物埴輪があらわれる。人物埴輪は殉死の悪習を改めるためのものであったと言伝えられている。さまざまの表情をみせる人物埴輪は今でも人気がある。

この本は何をもって日本文化というか、日本的と考えらているものがどのように形成されていったかを探ることが目的である。坪井は弥生文化が日本的文化の特徴としているが、弥生以前の縄文的表現が、あるときはにじみ出てくる、そしてあるときはそれが噴出してくるとしている。

日本とは何か日本文化とは何か、については論争がながく続いているが、縄文と弥生の関係をそのようにまずは理解しておくことにしよう。

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