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付加価値がないと生き残れないこのご時世 〜美容室の一コマにて〜

久津(@Nunerm)です。

今日美容室に行ったんですが、そこの店長から面白い話を聞いたので、ゆるーくアウトプットします。

美容室業界は厳しい

美容師の方々は、ゴールを「自分の店を持つこと」に設定している人が多いそうです。最初はどこかの美容室で働いて下積みし、スキルを磨いていずれ独立するという流れ。これは昔からあまり変わっていないとのこと。

では独立して成功している人は多いのか?

潰れまくっているそうです。

もちろん美容室が増えまくっていることと人口が減っている背景もありますが、店長は理由は他にもあると考えていました。


集客はできてもリピーターが増えない

自分の店を開いてから最初の問題は集客になります。暇だと売上が上がらなず運転資金がなくなるのはもちろんですが、自分や従業員のスキルも上がらないので、まずは兎にも角にも集客をすることが最優先になります。

簡単に集客する方法はいくらでもあるようで、店長が昔やったことあるのは◯ルーポンに掲載し初回のみ2,000円ぐらいでカットができるようにする施策。これかなり効果があるらしく、暇だったのが一気に忙しくなったとか。

ただし安く集客した客はほとんどリピートしないそうです。結局格安クーポンで来店する客層は「安ければ何でもいい」と考えており、次から次への「新規優待クーポン」に飛びついていく。そもそもその美容室である必要性はないので、いくら丁寧な接客をしても美しくカットしてもリピートはされないとのこと。そうなるといつまで経っても「安い美容室」から卒業できず、利益率も上がらず経営は厳しくなってきます。

ではどうやってリピーターを増やすのか。それが付加価値です。


うまくいかない原因は「美容師が付加価値を作る努力をしない」こと

店長はそこの美容室でないといけない理由(付加価値)を作って、その付加価値を求めている客にアピールすることが重要だと仰っていました。

例えば自分が3年ほど通っているこの美容室は「男性専門美容室(メンズサロン)」です。美容師もスタッフも客も全員男性です。ただそれ自体にはそんなに価値を感じていないくて、自分が最も価値を感じているのが「髪を切るだけでなく、髪や頭皮のケアにまで責任を持つ」というコンセプトを持っている点です。

男性は歳をとると髪が薄くなってきます。それは抗えない運命です。その予兆に最初に気付けるのは誰か。定期的に頭皮や髪を見ていて専門知識を持っている美容師です。なので頭皮ケアの方法とかを教えてもらったり、パーマやカラーによる頭皮ダメージリスクを科学的に丁寧に説明してもらったりと、色々な付加サービスをもらっています。その店長も勉強のために頭皮ケアの資格?(名前忘れた)を取得したそうです。もはや最近は「髪を切りに行く」というよりも「髪&頭皮の定期検診に行く」という感じです。こんなことができる美容室は他にはなかなか見当たりません。

事実、この美容室は集客にそこまでお金をかけていないのに、同規模のメンズサロンの中ではかなり売上が高いとのこと。自分のようなリピーターが多いんですね。

また教えてもらった驚きの事実として、「リピーターの1回あたりの単価と来店頻度は、男性と女性で大きく差はない」というものがありました。てっきり単価も来店頻度も女性の方が圧倒的に高いと思ってました。付加価値を認めている客はしっかりお金を落としていくんですね。(そういえば自分もちょっと高めの頭皮化粧水買ったな…)


では実際にこの店のように付加価値を持った美容室はどれくらいあるのでしょうか?

全然ないそうです。なので潰れまくってるのです。

多くの美容師は「付加価値を作る努力をしていない」と仰っていました。美容室経営はある程度ビジネスモデルが固定化されているため、差別化要因は「価格・スキル・立地」ぐらいしかないと考えている人が多いとか。なのでその店長は勉強会などを開いて付加価値の重要性を説いて回っているそうです。


この話を聞いて、これは美容室業界に限らずどの業界でも当てはまることだなと思いました。固定化されたビジネスモデルや前例に乗っかって、価格やスキルで差別化するだけでは生き残ることが難しい時代です。特に長年ビジネスモデルが変わっていない業界で勝負する人は気をつけないといけません。ある程度は乗っかればうまくいってしまうのですが、どこかでコモディティ化して限界が来ます。

付加価値をしっかり見つけて磨くこと、そしてそれを求めている顧客にアピールすることで、固定化されたビジネスモデルの世界でも選ばれるサービスになるのです。


…というクソ真面目な話を、髪を切られながら店長と繰り広げた年の瀬の出来事でした。

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