見出し画像

映画レビュー: 『ジーパーズ・クリーパーズ』 シリーズ

23年に一度、23日間、それは人間を食い殺す。

という、いわゆる怪物系ホラーシリーズです。これまでに3作品製作されています。1作目がフランシス・フォード・コッポラが製作総指揮を務めたことでもホラーファンにとっては有名なシリーズかと思います。久しぶりに週末にシリーズを見直しましたので軽くレビューでも。

『ジーパーズ・クリーパーズ』(2001)

画像2


1作目は2001年に公開。この年は自分が渡米した年で、アメリカの劇場で初めてみたホラー映画だったこともあり、とにかく記憶に残っています。低予算ながらサプライズ的に大ヒットしたパート1ですが、ウィスコンシンの田舎の映画館にはそれほど興味を持つ人がいなかったのか、私を含めて数名しか観客がいなかったのは今でも覚えています。

さて、このシリーズですが、わかりやすく作品が進むことにつまらなくなっていくのですが(笑)パート1は改めて見直してみると一生懸命作られている作品です。

シナリオは至ってシンプル。大学生の主人公2人(姉と弟)が夏休みで実家に帰省する最中に謎のトラックに追いかけられます。なんとかやり過ごすものの、少し先の廃教会で、トラック運転手である謎の男が血のついたシーツに包んだ何かを教会脇のトンネルに捨てている姿を目撃してしまいます。そしてそれが単なる人間ではなく謎の化け物だったからさぁ大変。化け物は2人の「どちらか」を獲物に定め、どこまでも追いかけてくる・・・。というものです。登場人物は主人公たち以外はほとんどおらず、執拗に追い回される2人の恐怖体験、そして化け物の正体は?といういかにもな低予算ホラーです。

画像2

画像3

このパート1は個人的にはクリーパーズがポリスカーの上に突如登場するシーンが非常に絵になるので好きです。

見所はとにかくこの化け物は何者なのか?そして、この化け物が2人のどちらに狙いを定めているのか?そのスリリングな展開を楽しむことにあると思います。そして低予算、田舎ホラーにお約束感全開の展開など、まともに見ると思わずイライラしてしまうような描写もお楽しみ要素としてエンジョイするのが良いかと思います。決して名作とは言い難い作品かとは思いますが、個人的には愛して止まない作品です(笑)。なお、もう20年近く前の映画で安っぽい表現ですが、若干のグロ描写があるので苦手な方はそれなりに覚悟はしたほうがいいかと。

ちなみにホラー仲間(←相当なオタク)と一緒に見たのですが「(主演の)ジーナ・フィリップスってパイパー・ペラーボとちょっとかぶるよね〜」なんて会話をしていました。2020年の今、こんな会話しているのは私たちだけではないでしょうか?でもわかる人、いてほしい・・・(笑)。


『ヒューマンキャッチャー/ジーパーズ・クリーパーズ2』(2003)

画像4


前作から2年後に公開された続編は、パート1から4日後、クリーパーズが23年の眠りに付く直前である日が舞台となります。

とりあえず突っ込まざるを得ないのはそのタイトル。おそらくパート1があまり日本でヒットしなかったからか付いた別タイトルかと思いますが・・・なぜ?笑 まぁコウモリのように飛び回り、空からティーンエイジャーたちをバッサバッサと捕まえていきますので的確な表現なのですが。

画像5

画像7

パート2は当時ティーンホラーがまだ大ブーム中だったことを受けて、登場人物は高校生の集団(遠征試合帰りのアメフトチーム)となり、ホラー映画の法則に則り、1とは比較にならないほどのペースで次々と若者たちがクリーパーズの餌食となっていきます。2000年代初期のホラーが好きな世代にはドンピシャな面白さがあるのではないかと思います。クリーパーも今回はパワーアップ。飛び道具を駆使したり、カカシに扮してみたり、ウィンクやピストルばっきゅ〜ん仕草なんかを見せたりとお茶目さも加速します。「俺も人気ホラーキャラとしての確固たる地位を築いてやる!」といった気合を十分に感じられます。

ちなみにこのパート2のみなぜかアマゾンプライムになく、DVDを引っ張り出してきてみました。なぜこれだけ配信されないのか。。。


『リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ』(2017)

画像7


興行的に大成功した前2作から14年もの間を空けてリリースされたシリーズ三作目。こちらはパート1とパート2の間の数日間を描いた作品となっています。パート1の最終舞台となる警察署で、1の直後からスタートします。なんと警察署で1の主人公2人を匿うデイビス署長?(←役職忘れました)役でブランドン・スミスさんがパート1から続投しております。

さて、このパート3ですが・・・正直見なくていいです(笑)。駄作です。酷いです。ストーリーはスローですし、役者さんたちの演技も酷い。恐怖演出も全然怖くない。そして何より「クリーパー誕生の謎がついに明らかに」みたいに謳っていましたが、登場人物たちがその謎をビジョンのようなもので見たであろうシーンはありますが、観客には彼らが何を見たのかはまったく明かされず肩透かし。。。

画像8

画像9

そしておそらく見所がクリーパーよりも彼が乗りこなすあの不気味なトラック(パート1以来の登場)の中が描かれるところかと思いますが、これもまったくもって盛り上がらず。ある程度パート1でも人間の技術で作られた改造車ではない雰囲気は出していましたが、完全に別の次元の物として描かれてしまい思わず「ん〜こっち方面期待してはいないんだよなぁ」という残念なため息が出ました。

ただ、最後の最後に「ある方」がカメオ出演しているのだけはテンションが上がります。おそらくパート4への伏線かと思いますが、3は本国アメリカでも劇場公開はわずかたったの1日限りという限定公開っぷりに加えて酷評の嵐。きっと4は日の目を見ることなく終わるのでしょう。。。


ということで、非常に3が残念なこのシリーズですが、1と2はティーンホラーがとっても元気だった2000年代初頭において確実にファンの心を掴んだ良作ホラーになっています。まだ見たことのないホラー好きな方がいたら是非この独特の世界観、そして魅力あふれる化け物、クリーパーの活躍を堪能してほしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?