コミュニケーション

すっかり朝な線路沿いの憂鬱
自転車駆けていく静かな道路
空白を見つけては歌を歌い
すれ違うたびに黙った

数分 辿り着いたマンション
エレベータで親切な男と乗り合わせ
酷い体臭に目を細めて
気づかれるように会釈した

帰ってきた自宅はそれはもう
笑えないほど散らかっていて
気づかなりふりした人間性が
わたしにもあると思い知る

わたしだって独特の匂いを
まとって生きていると思う
堪らず伸びた髪を嗅いだ
まだシャンプーの香りがする

夜に目覚めて働いた
朝我に返って帰宅した
わたしの一日のやり取りが
体臭と会釈の交換だけなんて

理解する前に思い出した
コインランドリーへ行かないと

Writer of Wide Scence