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プリンス『ラヴセクシー』のトラックが切れました、ようやく

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Prince / Lovesexy

(同 Apple Music のほう)

きょうたったいま発見したんですが、プリンス1988年の『ラヴセクシー』、サブスクだと全九曲が公式に切れた状態になっていますね。いつから?いずれにせよ歓迎したいことです。CDのほうが同様のフォーマットでリイシューされたかどうか確認していませんけども。

YouTubeや各種サブスクで音源が(ほぼ)ぜんぶ公式に解禁されたり、種々の未発表音源が発掘発売されたり…といった一連の動きは、もちろんプリンス本人が亡くなった(2016)からこそ可能になったこと。『ラヴセク』のトラックがとうとう切れたのだってそうでしょう。

もちろんアルバムをワン・トラックで発売するというのは『ラヴセク』しかプリンスもやらなかったんで、いくら自分の音楽はアルバム全体をトータルで連続体としてしっかり聴いてほしいという意向だとはいえ、かなりの不評を買ったというのを自覚していたんでしょうね。聴きにくいもんねえ。ラジオ番組なんかはどうしていたんでしょうか。

がしかしそれも今後は心配する必要がなくなりました。音楽的にはたいへんな傑作に違いない『ラヴセク』の人気も評価も一般的にイマイチだった最大の要因が1トラック形式だったことにあったんだと感じてきましたけど、これからはしっかり聴かれて評価されていくことを望みたいですね。

2「アルファベット・ストリート」、4「アナ・ステシア」、7「ウェン・2・R・イン・ラヴ」、9「ポジティヴィティ」など、このアルバムにいくつかある超絶名曲も聴きやすくなったし、なにより曲単位で抜き出してコンピレイション的なプレイリストに追加できるようになったのはかなり大きなことです。

1980年代中期〜後半ごろのプリンスは生涯でも創造活動の絶頂期にあったんだというのは間違いありません。『パレード』(1986)『サイン・オ・ザ・タイムズ』(87)という二大傑作に続くものだった『ラヴセク』は、発売当時ぼくも胸をワクワクさせて宇田川町時代の渋谷タワーレコードで買って帰ったものの、聴き進むうち「なんやこれ…」と思ってしまいましたからねえ。

そこから34年。ようやく初めてマトモなかたちでこのアルバムが聴けるようになって、もうほんとうれしいなんてもんじゃありません。音楽内容はもちろん変わりませんし、音質的向上もありませんが、ちゃんとトラックが切れているとなんだか以前よりちょっといいアルバムに聴こえたりするから不思議ですよ。

(written 2022.4.2)

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