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オフ・ビート・チャ・チャが好き!〜 方逸華

(3 min read)

方逸華 / Mona Fong Meets Carding Cruz

bunboniさんに教えていただきました。

どうもなんかね、オフ・ビート・チャ・チャのことがぼくは大好きみたい。以前書いた江玲(コンリン)もいまだヘヴィロテだし、今度は方逸華(モナフォン)ってわけで、これもいいね。音楽としてはどっちもおんなじようなもんだけど、こんなに楽しいならいくらでも聴きたい。

bunboniさんが江玲リイシュードを紹介するまで未知のジャンルだったんですが、でも聴いてみればこども時分に親しんでいたようなどこかなつかしいスウィートな既聴感があって、やっぱりあの時代日本でも、ぼくはまだそんな自覚なかったけど耳にしていて、この手の音楽が刷り込まれていたんでしょうね。それがいまごろよみがえっているんだっていう。

方逸華(香港)のほうは『Mona Fong Meets Carding Cruz』(1960)っていうアルバムで、1曲目がなんと日本の「黄色いさくらんぼ」。そのほかUSアメリカ産のポップ・ソングなどを、英語と中国語をコーラスごとに入れ替えながら、キュートに歌っています。

浜口庫之助が書きスリー・キャッツが初演した「黄色いさくらんぼ」(59)は、最初から日本におけるキューバン歌謡セクシーだったわけですから、香港へ来てこうしてオフ・ビート・チャ・チャに変貌するのも道理。ここでの方逸華ヴァージョンはスリー・キャッツのをかなり踏襲しています。もとからこういう曲なので。

中国語圏の大スタンダード「夜来香」もとりあげていて、それだってラテン(キューバン)・ビート由来のオフ・ビート・チャ・チャのアレンジでやっているのが、かえって曲が本来持っていた未知なるチャームをきわだたせていて、いいですね。これも1コーラス目は英語、2コーラス目は中国語。

アレンジやバンドのことなどは上掲bunboniさんの記事に書かれてあるので参考にしてください。ヴォーカルは曲によりパティ・ペイジあたりを想起させるものもあって(5など)、たんにワルツだからなのかもしれませんが、もっと大きな当時のワールド・ポップの潮流みたいなものを個人的には感じないでもありません。ロック爆発前夜の爛熟ムードっていうか。

方逸華のヴォーカルはキュート&チャーミングでありながら落ち着きと端正さを感じさせるていねいなもので、どこといって強い個性はありませんが、きっちり曲を歌い込むスタンダードなスタイルが好感を呼ぶものです。

(written 2023.4.19)

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