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コロナ時代のクリスマス・ソング 〜 アイオナ・ファイフ

(4 min read)

Iona Fyfe / In The Bleak Midwinter (Scots)

今年もそろそろクリスマス記事を書きたいなと思っていたところ、ちょうどきょうの正午に一通のメールがBandcampから届きました。アイオナ・ファイフ(スコットランド)のニュー・シングル「イン・ザ・ブリーク・ミッドウィンター(スコッツ)」リリースのお知らせです。上掲バンドキャンプのページでストリーミングやダウンロードできます。ぼくは1ポンドで買いました。

そう、そうなのでした、昨晩だったかな、アイオナは自身の各SNSアカウントで、明日朝ちょっとした一曲をリリースします、それはクリスマス・キャロルなんですよ、と告知してくれていたのでした。それで、それが公開されたというメールが(日本時間の)今昼バンドキャンプから来たわけですね。

「イン・ザ・ブリーク・ミッドウィンター」は英国の古典的クリスマス・キャロル。クリスティーナ・ロセッティが1872年に書いた詩にもとづくもので、メロディはその死後にグスターヴ・ホルストが書いたものがスタンダード。

アイオナはそれをスコットランド語に翻訳し、オリジナルにない三連目のヴァースもくわえて、あたらしいスコッツ・クリスマス・キャロルとして生まれ変わらせていますよね。スコットランド語がさっぱりなぼくですけど、バンドキャンプのページに歌詞が掲載されているので助かります(でも音で聴いたほうが英語に近いような)。

多くのクリスマス・キャロルは宗教的なおごそかさに満ちていて、当日に教会で静かに過ごす際のBGMとしてふさわしい雰囲気を持っていますが、そこは無宗教のポップ・ミュージック・ファンなぼくですから、にぎやかで派手な感じに解釈されたものをいままでの人生で楽しんできたわけです。

クリスマスが楽しくにぎやかなイベント、というのはキリスト教観点からしても、いいと思うんですよ。そういうふうに布教した、世界にひろめたと思いますし。実際、ポップ歌手がやる楽しげなクリスマス・ソングを人生でたくさん聴いてきました。それで気分が上がればオッケーと思うんですね。

ところが、今年は全世界的なCOVID-19パンデミック。大勢が近距離で集合したりすることは避けなければなりません。キリスト教圏で今年のクリスマスをどう過ごすのか、どんなプランが立てられているのか、まったく知りませんが、やはり例年どおりとはいかないでしょう。

そんなわけで、陰鬱で暗くつらかった今年のクリスマスには、派手でにぎやかでポップなクリスマス・ソングよりも、宗教的に敬虔な、静かでおごそかで、じっとひとりで部屋のなかで過ごすような、そんな様子にぴったり似合う「イン・ザ・ブリーク・ミッドウィンター」みたいなクリスマス・ソングがいいかも。

ましてやそれが愛するアイオナ・ファイフの歌で聴けるんですから、もはやこれ以上なにを求めようというのでしょう。今年のぼくにとっては、ピアノ一台の伴奏で歌うアイオナのこの「イン・ザ・ブリーク・ミッドウィンター」こそが最高のクリスマス・プレゼントです。

ありがとう、アイオナ、ぼくのサンタ。
xxx

(written 2020.12.4)

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