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マルコス・ルファートの『Vata』がいい

(3 min read)

Marcos Ruffato / Vata

ブラジルはミナスジェライスのシンガー・ソングライター/ギターリスト/アレンジャーであるマルコス・ルファートの昨年の新作『Vata』(2020)。かなり話題になっていましたよね。年間ベストに選ぶかたもいて、気になっていました。ようやくいまごろ聴きなおし書く気になっているという。腰が重かったのはミナスだからかなあ。

でもメロディとハーモニーの美しさは掛け値なしですばらしいとぼくも思っているんですよね。特に印象に残った部分だけちょこちょこっときょうはメモしておきますが、まずいかにもミナス派という1曲目で幕開けしたのちの2曲目「Carta ao Patriota」。マルコスのナイロン弦ギターとダヴィ・フォンセカのエレピが印象的で、美しき静謐を思わせる曲調がステキ。でも最も惹かれるのは演奏後半のエレキ・ギター・ソロですね。それがフェリピ・ヴィラス・ボアス。ほんとうにすばらしく美しいギター・ソロで、聴き惚れます。

ブラジリアン・ロックなテイストもある3曲目を経て、4曲目「O Passo Faz o Chão」ではイレーニ・ベルタシーニの歌声がきれい。ソプラノ・サックスはだれだろう、ちょっとウェイン・ショーターみたいでなかなか聴けますよね。終盤パッと曲調が変化してのヴォーカル・コーラスはいかにもミナス新世代的。

5曲目「Frevo pra Acordar」はフレーヴォというより軽快なマルシャで、これも好き。ここではなんといってもトニーニョ・オルタの参加が耳をひくところ。ギター・ソロもきれいだし、実にいいですねえ。ちょっとパット・マシーニー・グループっぽい曲というか、そもそもパットがミナス音楽の影響下にあるんですよね。

ドラマティックに展開する8曲目の後半も好きですけど、サンバである9曲目「Farol」がなんといっても楽しいです。パーカッション群もステキ、と思っていたらあっというまに終わって続く10曲目「Setembro」へ。ここではベテランのセルジオ・サントスのヴォーカル参加が聴きものでしょう。トロンボーンの使いかたもうまいサンバ/ボサ・ノーヴァ・リズムの11曲目もいい。12曲目もリズムとメロディがきれいですね。

(written 2021.1.31)

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