見出し画像

Z世代最強ドラマー!中村海斗登場

(3 min read)

中村海斗 / Blaque Dawn

2001年ニュー・ヨーク生まれ育ちが栃木→群馬っていう新世代ジャズ・ドラマー、中村海斗(Kaito Nakamura Davis)のデビュー・アルバム『Blaque Dawn』(2022)がものすごいカッコいい。これも昨年12月21日リリースだったもので、なんときのう書いた和久井沙良のと同日だったみたい。

なんだか日本のZ世代ジャズ・ミュージシャンが続々デビュー・アルバムを出しているような、それもすべて注目に値する新感覚の充実ぶりで、そういう時代になったなあ〜と深い感慨をおぼえます。

アルバムは全曲カルテット編成。すべて海斗の自作コンポジションで、佐々木梨子(サックス)、壷阪健登(ピアノ)、古木佳祐(ベース)という面々。みんな同世代の若手でしょうか、一体となってグイグイ迫りくる勢いに圧倒されます。

四人とも饒舌なのが特徴で、ことに梨子の燃えあがるアルト・サックスはすばらしいものがあります。まるでイマニュエル・ウィルキンスじゃん、つまりアルトを吹くジョン・コルトレインだと聴きまがうほどの突出ぶり。健登の弾きまくりピアノも聴きごたえあるし(ときどき垂直系)、なんなんでしょうねこのバンド。

イマニュエル・ウィルキンスといえば海斗自身好きなんだそうですよ。たしかにコンポジションに間違いない痕跡があります。そしてなにより細かく手数多く多すぎるくらいに叩きまくるそのポリ・ドラミング・スタイルは、いままでのどんなジャズ・ドラマーでも聴いたことのない異次元のもの。

ホントまじこんなん聴いたことないよ!と口あんぐりなんですが、ここ10年くらいかな、USでも日本でも新感覚ドラマーが続出しているのを海斗はすべてふまえ、それらまるごとひっくるめてごっそりアップデートしてくれちゃったような、そんな叩きっぷりなんですよね。

個人的に強く惹かれたのは終盤7曲目の「U.R.B.」。アルバム中最長尺の11分以上あるし、これがクライマックスとみていいんじゃないですか。ここで聴ける四人のほとばしるパッションは筆舌に尽くしがたいものがあります。バンドを猛烈にグルーヴさせながらひとり異なるビートを同時進行で刻んでいる海斗のポリリズミック&ゆるぎないアプローチに悶絶。

そうでありながら決して重たくシリアスにならないひょうひょうとした軽みというかさわやかさが海斗のプレイにはただよっていて、ぼくこのひと現役日本人ジャズ・ドラマーではいちばん好きだぁ。そんなにたくさん聴いているわけでもないけど、海斗こそ最強の存在と断言しちまいたい。

(written 2023.1.25)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?