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J-POP最先鋭 〜 LioLanの衝撃

(4 min read)

LioLan / UNBOX

カッコいい!あまりにもカッコよすぎると思うくらいなLioLan(リオラン)のデビュー作『UNBOX』(2023)に完全にノックアウトされたまんまリリース来ずっと毎日ヘヴィロテ状態。和久井沙良とキャサリン二名によるJ-POPユニットです。

沙良は去年暮れのデビュー作『Time Won’t Stop』を今年はじめに聴いて惚れちゃった天才ですが、キャサリンというシンガーとは初の出会い。ヨーロッパ系白人っぽい顔つきですが埼玉県人だそうで、東京藝術大学での沙良の後輩らしいです。声楽とオペラを学んだとか。しかし『UNBOX』は地声で歌うポップスで、ラップも披露。

そのキャサリンのラップがですね、めちゃめちゃリズム感よくて、天性のラッパーじゃないのかと思ってしまうくらいですよ。しっかりした発声でメロディを歌うヴォーカル部分とのつながりもスムースであざやかなシームレスぶりで、1曲目「nanikasa」からすでにそのカッコよさのトリコになってしまいます。

カッコいいというのは沙良のソングライティング、トラック・メイクについてもいえること。デビュー作でも颯爽とした(サウンド面での)イケメンぶりを発揮していましたが、今作でも現行J-POPシーンでここまでポップでしかも先鋭的なメロディ書きと音づくりのできる人物はいないよねえと唖然とするくらいの才能を発揮しています。

もうはっきりいってゾッコン惚れちゃっているんで冷静にことばを重ねることがむずかしいくらいですが、なんども聴けば聴くほどつくりこまれた細部の小さな一個一個のピースまでていねいに練られているのがわかり、かといってはじけるような瞬発力もあって、それはジャズ・ミュージシャンの一回性のインプロのようなあざやかさ。

沙良の作業によるものでしょうコンピューター打ち込みでつくられた曲と、ドラムス、ベース、ギターの演奏ミュージシャンをゲストにむかえ生演奏で組み立てた曲(1、3、4)が半分づつくらい。しかし両者にサウンド・テクスチャーの差はほぼなく、ヒップ・ホップ系のビートだって人力演奏で実現されていたりします。So Kannoっていうドラマー、すげえな。

もうね、出だしの1「nanikasa」があまりにもすんばらしすぎて、いきなりこれを聴いちゃったもんだから全身が耳からシビレたようになっちゃって。メタ音楽的な要素もあるこれ一曲だけでもいいから多くのリスナーに届いてほしい。J-POPのフィールドでここまでできちゃうんだっていう最先鋭がギュッと詰め込まれたような超絶的なEPです。

(写真はLioLan公式Instagramより)

(written 2023.7.27)

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