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さわやかな風のように 〜 ナラ・ピニェイロ

(2 min read)

Nara Pinheiro / Tempo de Vendaval

ブラジルはミナスの新人、ナラ・ピニェイロのデビュー・アルバム『Tempo de Vendaval』(2023)。話題になっていますよね。アントニオ・ロウレイロの全面支援を受けできあがった作品で、ロウレイロは正直いってあまりピンとこない音楽家なんですが、ぼくは、でもナラの本作はかなりいいです。

ヴォーカル&フルートのナラはまずフルート奏者として世に出たらしく、本作でも歌が突出しているという印象はありません。楽器と歌が並列しているというか峻別せず対等な立場で並びあう溶けあうというのは、ミナスやブラジルだけでなく近年のポップ音楽における一つの特徴。

ロウレイロのプロデュースがそうした側面をいっそう強調させているように思えますね。ナラとロウレイロのほかには七弦ギターとコントラバス奏者という四人編成での演奏で、ロウレイロはもちろんドラムス、パーカッション、ピアノなど鍵盤楽器といった複数を担当しています。

情熱というよりまるでさわかやな風がすっと吹き抜けるようなクールな感触がアルバム全体にただよっているのが心地よく、曲はいずれもナラの自作ですが、ていねいに練り込まれアレンジされたサウンドがそれでも聴いた感じスポンティニスに響くのは音楽としてすぐれている証拠。

傑作だとか今年のブラジル音楽を代表するだとかはよくわからないんですが、たいへん気持ちのいい音楽であることはたしかです。ブラジル新世代、ミナス新世代がさほどでもないぼくだって、これはなんどもくりかえし楽しんでいます。

(written 2023.4.7)

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