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セシル・コルベルと岩佐美咲の「さよならの夏」が沁みる

(3 min read)

Cécile Corbel、岩佐美咲/ さよならの夏

最近気づいて日々実感しているんですけど、岩佐美咲+セシル・コルベル(Cécile Corbel)のデュオによる曲「さよならの夏」(2018)がとっても切なくていいんですよね。これは CD などでは発売されていません。配信オンリーのリリースで2018年に出たものです。同年七月、フランスはパリで開催された「Japan Expo 2018」出演のため美咲が渡仏した際に録音されたものでしょう。

「さよならの夏」という曲は、ジブリ映画『コクリコ坂から』の主題歌で、ぼくは聴いたことなかったんですけど(ジブリ映画にも興味ないし)、2018年の秋か冬ごろだったかな美咲+セシルの共演ヴァージョンが Spotify で聴けるようになった際、そのお知らせがあったので、ちょっと聴くだけは聴いてみました。でもそのときはあまりピンとこず。

いいなと思ったきっかけは、こないだ七月頭に美咲のシングル表題曲全九曲が Spotify で解禁になったということで、それらをぜんぶ一個に集めたプレイリストを作成、その際末尾にいちおうと思って「さよならの夏」もくっつけておいたんですね。九曲ぜんぶ聴き終えると「さよならの夏」が続けてそのまま流れてきますので、それで自然と耳にしていたんですよ。それで感心するようになりました。

セシル・コルベルはフランスのハープ奏者&歌手で、音楽家としてのキャリアは美咲より上です。「さよならの夏」ではほぼ対等にヴォーカル・パートを分けあっていますよね。セシルはハープも弾いている模様。美咲は日本語で、セシルはフランス語でそれぞれすこしづつ歌い、最終的には日本語詞を二人でハモりながらデュオするといった体裁。二人とも声がナイーヴでチャーミングで、それだけでもなかなか惹かれるものがあります。

それ以上にこれはたぶんこの「さよならの夏」という曲のメロディが切なくてチャーミングだから、ということなんだろうと思うんですね。哀感のただようマイナー調のこの旋律が本当に胸に沁みて、泣きそうになっちゃいます。こんなにも心に響くメロディだということにまったく気づいてもいなかったんですけど、たぶんプレイリストのラストに置いたから、というのも一因ですよね。

そこまで美咲のオリジナル・ソングが九つ続けて流れてきて、それらはもう相当数くりかえし聴いてきているなじみのものなんですけど、「右手と左手のブルース」が終わって、すっと「さよならの夏」 のイントロが流れてきた瞬間に、あぁなんてこじんまりとしたチャーミングな音楽なのかと感心しちゃい、歌が出てきたらもっとグッと胸に迫ります。このメロディですよ、それが本当にいい。

ラストもかなりすんなりというかあっさり、アウトロもなし、歌でそのままスッと終わってしまうのが、なんとも後ろ髪を引かれる思いで、あまりにも切なすぎる曲の終わりだと、これぞさようならだと、感に入ってしまうんですね。

(written 2020.7.25)


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