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再構築されたアラビアン・ラヴ・ソングズ 〜 ドゥドゥ・タッサ、ジョニー・グリーンウッド

(2 min read)

Dudu Tassa, Jonny Greenwood / Jarak Qaribak

イラク系イスラエル人音楽家、ドゥドゥ・タッサのことも以前一度書きましたが、最新作『Jarak Qaribak』(2023)はジョニー・グリーンウッド(レイディオヘッドなど)とのコラボ作。とっても美しいアラブ音楽で大好きです。

ぼくはこれをSpotifyの新着案内プレイリスト『Release Rader』で発売当日に知って聴き、いいねと思って投稿もしたんですけど、翌日には前からドゥドゥに注目されている石田昌隆さんがしっかりツイートなさっていて、さすがだと思いました。やはりアラブ音楽をやるイスラエル人ということで。

アルバムの収録曲はすべてカヴァー。アラブ圏に存在するクラシカルなラヴ・ソングで、それを二名のコラボと生演奏バンドと一曲ごとに異なるさまざまな中東歌手たちっていうチームによって再構築したアルバム。ビートはジョニーによるドラム・マシンが使われています。

どの曲もトラック冒頭に曲名、歌手名、都市名を呼ぶ声が入っていますが、曲名と歌手名はトラックリストにも書かれてあるものの、どこの歌手かということはイマイチわかりにくいかもなので、一覧にしておきました。

1)エジプト
2)レバノン
3)パレスチナ
4)モロッコ
5)イラク
6)ドバイ
7)シリア
8)(ドゥドゥ自身)
9)チュニジア

二名のリーダーシップのもと集まったチームによる再構築手腕はきわめてみごとで、クロス・ボーダーな音楽作成の理想型ともいえるもの。サウンドは1970〜80年代的でありながら(この点ではやや時代遡及的な指向もうかがえる)、本質的にコンテンポラリーな音楽のありようを示しているなと思います。

個人的にいちばんのお気に入りは6曲目「Ahibak」。曲のメロディがステキだし、サウンドも、ノレるダンサブルなビートのつくりかたも美しく、さらにドバイ歌手サファ・エッサフィの哀感とリリカルさを濃厚にたたえたセクシーなヴォーカルもチャーミングで、もうぞっこん。

(written 2023.6.13)

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