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2020年ベスト10アルバム

(5 min read)

今年から新作篇だけ。おおみそかに発表すると昨年から決めたんですが、今年だけはあした特別な企画を用意していますので、きょう出します。

毎年のことながら、傑作だとか時代を代表するだとかいうよりも、自分の好みやフィーリングにぴったり合うか、くりかえし聴いたか、で選んでいます。

すべてSpotifyで聴けます。

(1)Pinhas and Sons / About an Album(イスラエル、2018)

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今年になって日本に入ってきましたが、もうこればっかり聴いています。夢中です。真のフュージョン、ワールド・ミュージックだと思いますねえ。高度で複雑で難解な構成と技巧が、心地よく聴きやすく耳なじみのいい明快でポップな音楽性を下支えした大傑作。

(2)Rumer / This Girl’s in Love: A Bacharach & David Songbook(イギリス/アメリカ、2016)

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四年も前のアルバムを選ぶのはどうかと思ったんですけど、これほどの宝石を知ってしまって無視することなど不可能。それほど美しい。ピンハス・アンド・サンズに抜かれるまでは、今年いちばん聴いた、いちばん惚れた作品でした。

(3)Immanuel Wilkins / Omega(アメリカ)

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若手ジャズ・アルト・サックス奏者のデビュー作。今年も暮れになってこんなとんでもない傑作に出会ってしまうとは、大きな衝撃でした。強いパッションを新時代の新感覚ビート・スタイルに乗せて表現するカルテットの高い熱量に圧倒されました。

(4)Kat Edmonson / Dreamers Do(アメリカ)

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とりあげているのはディズニー・ソングばかり。それをワールド・ミュージック的な視点から選んだ楽器とアレンジで斬新に料理し、いままでにないまったく違った様相に変貌させた手腕には脱帽です。コラとタブラを使った「星に願いを」とか、サンバになった「あななの夢ばかり」とか、いままでにあったでしょうか。

(5)Chelina / Chelina(エチオピア、2018)

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都会的に洗練されたモダン・ポップス。もうゾッコンで、一月ごろは毎日聴いていました。オーガニックなネオ・ソウル〜コンテンポラリーR&B的な色彩感が強く、ジャジーでもありますね。

(6)Dino D’Santiago / Mundu Nôbu(ポルトガル、2018)

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ジャケットがいいので、それだけで聴いてみたくなります。デジタルな打楽器音をメインに組み立てる点描画法的なサウンド構築が大の好み。ダウナーでダークなサウンドスケープはいまの時代の音楽ですね。

7)Dilek Türkan / An(トルコ、2018)

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オスマン/トルコ古典歌謡。2018年の曲と1918年の曲をそれぞれやって同国100年の古典歌謡を俯瞰してみせた意欲的大作ですね。個人的にはギターやドラムスなども入った2018年分のモダンなふくよかさがお気に入りですが、オーソドックスで痩身な1918年分もみごと。

(8)Siti Muharam / Siti of Unguja: Romance Revolution on Zanzibar(ザンジバル)

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ベースとバス・クラリネットを中心とした低音メインのおどろおどろしくジャジーなターラブ・アンサンブルが魅惑的。主役歌手のヴォーカルもいいけど、バンドの演奏に聴き入りました。

(9)Os Matutos / De Volta Pra Casa(ブラジル、2019)

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古典的そのままのショーロ・ミュージックは、いつだって好物です。このアルバムはその上、かわいくてキュートな魅力にあふれていました。オフィクレイドでエヴェルソン・モラエスが参加しています。

(10)Nihiloxica / Kaloli(ウガンダ)

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ゴシックなエレクトロ・パーカッション・アンサンブル。ウガンダ現地の伝統リズムをベースに、現代的なクラブ・ビート感覚とも共鳴する内容で、おおいに感心しました。


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やむなく選外としたものを一部ご紹介。

・Karyna Gomes / Mindjer(ギネ・ビサウ、2014)
・Kem / Love Always Wins(アメリカ)
・里アンナ&佐々木俊之 / Message II - Reincarnation -(日本)
・SHIRAN / Glsah Sanaanea with Shiran(イエメン)
・Incesaz / Peşindeyim(トルコ、2017)
・Gustavo Bombonato / Um Respiro(ブラジル、2018)
・Lianne La Havas / Lianne La Havas (イギリス)
・Brian Lynch Big Band / The Omni-American Book Club: My Journey Through Literature in Music(アメリカ、2019)
・Soggy Cheerios / III(日本、2019)

リイシュー・発掘ものでは、プリンスの『サイン・オ・ザ・タイムズ』スーパー・デラックス・エディションをよく聴きました。

(written 2020.12.4)

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