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快感ファンキー 〜 ルーベン・ウィルスンのソウル・ジャズ

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Reuben Wilson / Blue Mode

どれかのブルー・ノート・レーベル公式プレイリストで偶然出会ったオルガン奏者、ルーベン・ウィルスン(Reuben Wilson)。ネットでこのひとのことを調べていると、このアルバムが聴きたいぞと思えるものがSpotifyになかったりしてもどかしい思いをしますが、いまのぼくはあきらめるしかないんですね。

それで、きょうピック・アップしたのは『ブルー・モード』(1969年録音70年発売)。個人的にジャケット・デザインが好みじゃないですが、中身は文句なしのファンキーなオルガン・ジャズです。オルガン・ソウル・ジャズっていう感じかな。編成はボスのオルガンに、テナー・サックス(ジョン・マニング)、ギター(メルヴィン・スパークス)、ドラムス(トミー・デリック)。

ちょうどメンフィス・ファンクでもあるっていうか、たとえば2曲目でエディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」をやっていたりもしますし、そんな感じの音楽でもありますね。ブッカー・T&ザ・MGズみたいな、あんなインストルメンタルをもっとグッと拡大してジャズ寄りにしてっていうような雰囲気。1990年代的にみればレア・グルーヴ的とも言えますね。

リズムはどれも16ビートで、ドラマーがファンキーに叩くのが快感ですよねえ。ジョン・マニングのテナー・サックスもたくさんソロを吹きますが、このひとがアルバムでいちばんジャズを感じさせる要素です。うねうねと、まるでジョン・コルトレインみたい、っていうか1969年録音ですからね、トレインの影響は爆大なるものになっていました。

そしてそれ以上にメルヴィン・スパークスのギターがぼく好み。箱物ギターの音色ですけど、このギターリストがブルー・ノートのソウル・ジャズ系作品で弾いているものはだいたいどれも好きなんです。カ〜ッコイイじゃないですか。メルヴィンのギター・ソロを聴いている時間はほんとうに快感です、シングル・ノートでびょんびょんってやっているのがマジ気持ちええ。

アルバムのなかでは、特に1曲目「バンブー」、4「オレンジ・ピール」、そしてラストのタイトル曲「ブルー・ムード」の三つが超絶グルーヴィで、もうカッコいいったらありゃしない。特に「オレンジ・ピール」ですかね、なんなんですかこのファンキーさは。ボスのオルガンの音色も快感だし、二番手のテナー・サックス・ソロも聴かせるし(ちょっぴりアヴァンギャルドっていうかアトーナル気味にアウトするのもいい)、ギター・ソロがないのだけが残念ですけど、ビートが気持ちよくって。

(written 2020.10.11)

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