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リズムの狂宴 〜 ルベーン・ラダ en 松山公演 2021.11.29

(4 min read)

(参考プレイリスト)

第一部
1. Aye Te Vi
2. Candombe para Gardel
3. Don Pascual
4. Quén Va a Cantar
5. Chão da Mangueira
6. Dedos
7. Antídoto
8. Santanita
9. Candombe para Figari
10. Don’t Stop el Candombe

第二部
11. Cuesta Abajo
12. Corazón Diamante
13. Malísimo
14. Blumana
15. Shimauta
16. Montevideo
17. Cha-cha, Muchacha
18. Muriendo de Plena

アンコール
19. No Me Queda Más Tiempo

打楽器奏者だけで全五名(ルベーン、ドラマー、パーカッショニスト三名)というステージ上のバンド編成を見ただけで、この日の音楽がどんなものになるか予想がつきましたが、はたしてそのとおりのリズムの狂宴でしたね、ルベーン・ラダ(ウルグアイ)の松山公演。

実際、どの曲も激しいカンドンベ・ビートのオンパレード。なかにはサンバ、ロック、タンゴなども一曲づつやってはいて、カンドンベでもちょっとおとなしめというか静かでしっとりしたバラード調の曲ももちろんありましたけど、ルベーンの本領はどこまでも続くダンス・ビートの祭典。

幕が開いた1曲目からいきなりルベーンはカンドンベ・ビートにあわせた例の手拍子(3・2クラーベ、ボ・ディドリーと同じやつ)を客席に要求。客だってこんなに楽しければ文句なしといった様子で喜んで応じ、オープニングからステージと客席は一体となりました。

ダンス・ナンバーでは例外なくルベーンは客席にカンドンベ手拍子をうながしましたので、この日の松山市民会館大ホールは開幕から終演までほぼずっとみんながバンドにあわせてリズムを刻んでいたというに等しい状態でした。立ち上がって気がふれたように踊っている客だって第一部からちらほらいましたよ。

そりゃあそうですよ、五名の打楽器奏者が織りなすあんな強烈でカラフルなダンス・ビートには自然と腰や膝が動きます。こういったことはルベーンの音楽の本質であり、また今回の初来日公演で彼が最も強く目論んだことに違いありません。

もちろんじっくり歌や演奏を聴かせるパートや曲もありました。特に娘フリエタが歌った三曲はどっちかというとヴォーカル・ナンバーで、またギターリストの息子マティアスの超絶技巧もきわだっていました。マティアスは両部で一曲づつトーキング・モジュレイターを駆使して弾きまくったんですが、いやあ、カァ〜ッコよかったなぁ!

そうそうギターといえばですね、サンタナに捧げられたインストルメンタル「サンタニータ」ではマティアスのギターを全面的にフィーチャーしていて、音色までカルロス・サンタナそっくりにチューン・アップして、濃厚かつ饒舌に弾いていたのが印象的でした。

第二部では日本の「島唄」(宮沢和史)のスペイン語ヴァージョンも披露。これってアルゼンチンでちょっとヒットした曲なんですよね。サビの部分でギターが裏拍で刻んでややレゲエっぽい感触になる以外、これもカンドンベ・アレンジになっていました。

「島唄」が終わったら、そこから終演までの三曲はもうぼくをふくめ客席だってみんな踊りまくるという興奮のるつぼ。三曲とも強烈なダンス・ビートの連続で、生でカンドンベを聴いたのは初めてでしたが、ここまでとはねえ、録音されたアルバムで聴いていてもわからなかったことです。

約二時間のステージ・トータルでみても伴奏が五名の打楽器だけになるパートがけっこうあって、+複数のヴォーカルというテクスチャーのカラフルさ、躍動感を現場で耳にすると、カンドンベのアフリカン・ルーツをまざまざと見せつけられる思いでした。

(written 2021.11.30)

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