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シティ・ポップ in ジャズ 〜 Airi

(3 min read)

Airi / City Pop Rendez-Vous

日本人ジャズ・シンガーAiriがJシティ・ポップのジャジー・カヴァーにいどんだ新作『City Pop Rendez-Vous』(2023)がおしゃれでちょっといい。仕掛け人はJ-Jazz界のニュー・ヒーロー曽根麻央で、曽根はアレンジ、プロデュース、各種ピアノ、シンセサイザー、トランペットを担当しています。

そのほか演奏メンバーは:

シンサカイノ - bass
鈴木宏紀 - drums
Kan - perc
マルセロ木村 - guitar

以下は収録曲の初演歌手一覧:

1 Jazz Singer(濱田金吾)
2 リバーサイドホテル(井上陽水)
3 スカイレストラン(荒井由実)
4 あまく危険な香り(山下達郎)
5 Midnight Pretenders(亜蘭知子)
6 マイピュアレディ(尾崎亜美)
7 ゴロワーズを吸ったことがあるかい(かまやつひろし)
8 Saravah!(高橋幸宏)
9 ワインレッドの心(安全地帯)
10 都会(大貫妙子)
11 Midnight Love Call(南佳孝)
12 スローなブギにしてくれ(南佳孝)

なかには知名度の高くない曲もありますが、有名ヒットもふくめ、あの曲がこんなふうにジャズになるのか!という意外さ、新鮮な驚きに満ちたアルバムといえるでしょう。

全体にパーカッションがよく効いているし、メインストリームというよりラテン・ジャズなアレンジになっているのもたいへんに好み。従来から王道ジャズのなかにラテン要素はしっかりありますが、本作はことさら強く意識されている印象。

なかでも2「リバーサイドホテル」、3「スカイレストラン」、8「Saravah!」、9「ワインレッドの心」、10「都会」あたりは中南米テイストが濃厚で、原曲がどんなだったかを思い浮かべるとビックリですよね。

しかもただラテン・ジャズ・アレンジでやったシティ・ポップというだけでなく、電気電子楽器と8ビート系&丹念に構築されたサウンド・アレンジメントの活用でフュージョンっぽいテイストをも獲得しています。「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」だけはタイトなジャズ・ファンク。

そもそもフュージョンは洗練された都会の音楽という側面も強かっただけに、シティ・ポップ・チューンがこうしたふうに変貌するのは自然なことではありました。それにしてもの変わりようで、初めて日本語で歌ったというAiriは乗っかっているだけかもですが、曽根の目のつけどころの確かさと同時にレンディションの大胆さに唖然とします。

(written 2023.7.25)

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