しんどいときの音楽〔79)〜 スティーリー・ダン
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Steely Dan / Alive in America
スティーリー・ダンの『Alive in America』(1995)CDは渋谷東急プラザ内にあった新星堂で見つけて買ったもの。東急プラザってもうないんでしたっけ?1970年代に間に合わなかったぼくにとってリアルタイム初のダンでした。ジャケットからしてよさそうと興味をいだいてレジに持って行ったんですよね。
そもそもダンが復活するとも思っていなかったですから、意外な感じもありました。Aliveの文字が見えるのでライヴ盤かなと思って、そこなんかちょっとビックリするような気持ちで。だってあのダン(ドナルド・フェイゲン)がライヴ・アルバムを出すとは考えられなかったです。
1990年代にはクラシック・ロックのリバイバル・ムードがあったから、そんな波にも乗ったんでしょうか。バンドの復活第一作がライヴになったことは、いま考えたらかなり意義深いことでした。フェイゲンが一回性の生演奏を信頼するようになったということですから。
70年代にはスタジオ密室作業でテープを複雑に切り貼りして作品を仕上げていたバンド、というかフェイゲンでしたけれど、約20年が経過してミュージシャンの力量がかなり向上したというのが、ツアーをやろう、そしてそれを録音してライヴ・アルバムを出そうと思えた大きな理由だったんでしょう。
『Alive in America』のツアー・メンバーも大半がジャズ/フュージョン系のミュージシャンでそこは70年代と同じ。しかし時代の新しいミュージシャンたちの演奏能力は高く、だからフェイゲンの信頼を得ることができて、ライヴ作品に結実したんでしょうね。
ダンのベストとして聴くこともできる選曲なのがまたいいですね。それをライヴ演奏で聴けるっていうのが格別ですよ。やっぱり音楽は生きものですからね、一回性の生演奏にはそれにしかないイキイキしたヴァイブが宿るんです。
(written 2024.1.24)
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