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軽快で聴きやすいキューバン・ジャズ 〜 ハニオ・アブレウ

(3 min read)

Janio Abreu y Aire de Concierto / Hijo del Viento

bunboniさんに教わりました。

キューバはハバナ生まれらしいマルチ木管奏者、ハニオ・アブレウ。とそのバンドによる2019年作『Hijo del Viento』が聴きやすいキューバン・ジャズで、ぼく好み。Spotifyでさがすと新作ライヴ・アルバムも2020年に出ていますが、未聴です。

マルチ木管と書きましたが、実際ハニオは本作でクラリネット系、サックス系、フルートを吹きこなしています。+バンドはピアノ、ベース、ドラムス、パーカッションという編成で、ほぼどれもハニオの自作曲を楽しく軽快に演奏しているのが聴いていて心地いいですね。木管は多重録音されているパートもあり。

楽しく軽快に、というそれがこのアルバム最大の特色じゃないかと思います。ラテン・ジャズってときどき暑苦しくなることもあるっていうか、むさ苦しさが聴きにくさにつながったりしているケースも散見されますが、ハニオの本作はそんな傾向と無縁。だからbunboniさんが言っているようにちょっとフュージョン寄りのポップさを感じさせたりするのがグッド。

曲もラスト8曲目を除いてハニオの自作ですが、どれもノリよくとっつきやすいメロディを持ち、それでいながらけっこう凝っていたりするんですよね。フックが利いているっていうか、ひとひねりしてあって、それなのに憶えやすい明快なメロディ・ライン、リフ・パターンです。テーマ部におけるリズム変化も特徴ですかね。

また、どの楽器を使うかによって、それにあわせ書く曲の傾向も変えているのがすばらしいところ。サックスよりも、個人的にはフルートを吹いているニ曲(3、7)と、クラリネットでやる5曲目の本格ダンソーンがお気に入り。特に3曲目の「Nostalgia」はいかにもフルートじゃないと表現できないリリカルさを持っていて、大好きです。

バンドであるアイレ・デ・コンシエルトは(8曲目のアレハンドロ・ファルコンじゃなく)レギュラー・ピアニストも際立つ腕を持っていて、本作ではある意味ハニオの木管よりもいいんじゃないかと思うほど耳をそば立てました。名前を知りたいなあ。好みのキューバン・ピアニストです。キューバっていいピアニストを輩出しますね。

6曲目「Travesia」でも、そのピアニストによるテンポ・ルバートのプレリュード部がとてもいいですが、本編に入るとアルバム中唯一エレピとエレベが使われています。これなんかも聴きやすくてポップなキューバン・フュージョンの趣きで、好みです。

(written 2021.10.15)

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