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リズム&ブルーズとよばれた音楽 〜 デューク・ロビラードのマニフェスト

The Duke Robillard Band / They Called It Rhythm & Blues

萩原健太さんのブログで知りました。

ベテラン・ブルーズ・ギターリスト、デューク・ロビラードの新作アルバム名は、そのものずばり『ゼイ・コールド・イット・リズム&ブルーズ』(2022)。爽快感すらあるストライク・ゾーンどまんなかの直球で、実際、ブルーズ、リズム&ブルーズ界往年の名曲群(若干の新曲あり)を小細工せずストレートに投げ込んだ一作。

こういった世界にあまりなじみがないとか、そもそも音楽をあまり聴かないというみなさんだって、この手の曲は一個だけ耳にしたことがあると思いますよ。長寿の深夜テレビ番組『タモリ倶楽部』のテーマ・ソング、あれですよ、あの世界がこれです。

今回ロビラードは曲ごとにさまざまなゲスト参加を得て、まさにこういうのがリズム&ブルーズの世界だったんだ、こういう時代があったんだよというのを、ブルーズがあたかも過去の遺物のように扱われるようになった2010年代以後の現代に、全面的に展開しています。

ジャンプ・ブルーズあり、ルンバ・ブルーズあり、ニュー・オーリンズ・ブルーズあり、スタックスふうあり、ロカビリーあり、ウェスタン・スウィングあり…。めくるめくアメリカン・ブラック・ルーツ・ミュージックの雨アラレで、こういった音楽にこそ強い共感をいだくぼく(だけじゃないはず)みたいな人間には感謝感激のアルバムなんであります。それも2022年の新作ですから。

たしかにこんな音楽はもう時代遅れっていうか、ジャケット・デザインだってジジイの世迷言的時代錯誤感たっぷりではありますが、2022年でも決して消えてなくなったわけじゃない、確実にそれを継承している音楽家やファンが間違いなくここにいるぞという、そんなマニフェストみたいなもんですか。

(written 2022.5.10)

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