見出し画像

グルーヴィ!〜 グラント・グリーン『ライヴ・アット・クラブ・モザンビーク』

(4 min read)

Grant Green / Live at Club Mozambique

1970年ごろからのグラント・グリーンはご存知のとおりソウル・ジャズ、ジャズ・ファンクをやっていました。そこからきょうもまた一つ『ライヴ・アット・クラブ・モザンビーク』のことを書いておきたいと思います。1971年録音で、世に出たのががなぜか2006年でした。

2006年リリースですからね、あれですけど、もし録音当時にレコード発売されていれば、90年代のレア・グルーヴ・ムーヴメントでさぞやもてはやされただろうっていう、そんな音楽です、『ライヴ・アット・クラブ・モザンビーク』。ド直球のファンキー・グルーヴィ・ジャズ満載。いやあ、気持ちよくてたまりません。

編成はオルガン・トリオ+2サックス。サックス二名はいずれもぼくは聞き慣れない名前で、しかも両者ともテナー・サックス(一人はソプラノも吹く)なので、聴いての判別はできません。サックス・ソロ内容なんかもかなりいい部分があるから知りたいなと思わないでもないですが。

それでもやっぱり聴きどころはグラント・グリーンのファンキーなギター・プレイとリズムのノリですね。カッチョイイのひとこと。1950年代からやっているにもかかわらずこういった16ビート・ファンクにここまでピタリと乗せてくるギターリストって、なかなかすごいですよね。もともとソウルフルなブラック・ミュージック気質の音楽家ではありましたけどね。

1曲目「ジャン・ジャン」なんかでも、テーマ合奏が終わってグラントのギター・ソロになるや、シングル・トーン反復でぐいぐい攻めるこのノリ!これがたまりません。音色はハコものジャズ・ギターのそれですけど、それが音楽性にぴったり合致しているように聴こえますよね。サックス、オルガン(ロニー・フォスター)のソロもよし。ドラムスのイドリス・ムハンマドもカッコいいです。

3曲目「ボトム・オヴ・ザ・バレル」も同タイプのグルーヴ・チューン。出だし(とエンディング)がこんなじんわりした感じだからつまんないな〜と思って聴いていると、約一分経過したら突然オルガン・トリオが激しくグルーヴィに刻みはじめます。そこからは快感の嵐。一曲のあいだじゅうずっと同一フレーズのリフを低音部で反復するオルガンも最高でしょう。

4曲目がなぜかバート・バカラックの「ウォーク・オン・バイ」ですけど、しかしここでもグラントの弾きかたはなかなかチャーミングですよ。プリティな持ち味のこの曲をいい感じに仕上げています。これはしかしアルバム全体でみればちょっとした箸休め的な一曲ですね。ぼくはメロディが大好きな曲だから楽しめますけど。

5曲目「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」はやはりふたたびのグルーヴ・チューン。テーマ演奏部では途中なぜか4/4ビートのパートがありますけど、ソロ・パートに入ってからはひたすら16ビートのファンキー・グルーヴが持続します。ここではイドリスのドラミングもかなり聴かせますね。テナー・ソロもカッコいい。

二曲飛ばして8曲目「アイ・アム・サムバディ」も快調。ここではグラントのギターもいいですがそれよりもロニー・フォスターのオルガンがソロで大活躍。曲中盤から後半にかけて、長尺ソロでぐいぐいもりあげます。これもいいなぁ。アルバム全体でグルーヴ・チューンが満載で、現場で聴いたら最高に気持ちよかっただろうな〜って思えるライヴ・アルバムです。

(written 20201.1.6)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?