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ぼくにとってのファドとは地中海のキラキラ 〜 アナ・モウラ

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Ana Moura / Desfado

去年だったか(今年?)新作が出たらしいポルトガルのアナ・モウラ。それはまだ聴いていないんですが、とりあえずいままでのところで個人的に好きなアナの作品を手短にしゃべっておきましょう。

それは『Desfado』(2012)。これもラリー・クラインのプロデュースなので、こうした選曲、楽器選び、サウンド・メイクなのは納得ですが、それにしてもジョニ・ミッチェルの「A Case of You」があったりハービー・ハンコックが参加していたり。

ファドってわりかし保守的というか悪くいえば旧来イメージを引きずる頑迷ファンも多い世界なので、アナのこうした新感覚ファドはなかなか受け入れられなかったりしたかもしれません。

正直なところ、本格重厚ファドはちょっとしんどいというのが長年の個人的本音で、そのせいでちょっぴりこのジャンルを遠ざけていたような部分もぼくにはあったので、近年やや軽めのふわっとした聴きやすい歌手が続出しているのはうれしかったりするんです。時代のグローバルな音楽トレンドと合致もしていますし。

そして、本格でも新感覚でもぼくがファドに見出す魅力とは(ある意味全共闘世代的な)深刻さ、暗さ、重さというよりも、キラキラした地中海的な跳ねる軽快ラテン・ムード。こんなこと言うヤツいないかもですが、アナの本作でもそれは鮮明に聴きとれます。輝くギターラの音色(大好き)もそれに貢献していますよね。リズムのかたちだってねえ。

ジョニの2「ア・ケイス・オヴ・ユー」なんかだって、これをギターラ伴奏でやるっていうあたりはやっぱりファドではあるんですけど、そのおかげでかえってシリアスさが消え、地中海的な陽光のキラキラみたいなものをまとうことになっているじゃないかと思えたりします。

(written 2023.2.24)

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