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新世代ロンドン・ジャズの注目バンド 〜 シード・アンサンブル

(3 min read)

SEED Ensemble / Driftglass

今年夏前の一時期、新進ジャズを聴くみなさんのあいだでけっこう話題になっていたので(日本盤が出たから?)知ったシード・アンサンブル(SEED Ensemble)のアルバム『ドリフトグラス』(2019)。ぼくのばあい、タイムリーに書いてすぐアップすべきと判断したもの以外は、時間を置いて寝かせてから(メモがたまっていて順番があるからだけど)もう一回聴きなおして書くという習慣があるので、いま八月になってようやくとりあげていますし、そしてブログに上がるのはさらに一ヶ月以上先である(これもストックがあるから、現在48個)という。

ともかくシード・アンサンブルは、アルト・サックス奏者キャシー・キノシ率いるロンドンのジャズ・バンド。聴いた感じ大編成ホーン・アンサンブルが最大の特色で、トランペット、トランペット、トロンボーン、チューバ、アルト・サックス、テナー・サックス(兼フルート)という六管編成。これにくわえ、ギターをふくむリズム・セクションということですね。デビュー作『ドリフトグラス』ではキーボードやヴォーカルでゲストがいます。

チューバが参加しているのが耳を惹きますが、それがなんとあの注目株テオン・クロスなんですね。実際、アンサンブルにソロにとこのアルバムでも大活躍。並のホーン・アンサンブル・バンドじゃないなというのを実感させてくれますね。作編曲はたぶんリーダーのキャシー・キノシが譜面を書いているんでしょう、それもみごとで耳をそばだててしまいます。

たとえば1曲目でも、アルバム・ラストの8曲目でも、やはりど迫力の六管ホーン・アンサンブルに圧倒される思いで、ほかの曲でも随所にホーンズが活かされていますね。トランペットやサックスのソロ内容も聴けますし、いやあ、こりゃいいなあ。いや、ソロよりも個人的にはホーン・アンサンブル内容がみごとだなと思ってずっと聴いていますね。アンサンブルで聴かせる現代ジャズらしいところです。

そして、実はそれ以上にぼくが気に入っているのはドラマーであるパトリック・ボイルの叩きかたです。ビートを細分化して手数メッチャ多く、機関銃のようにどんどん速射していくドラミングと、それで生み出すグルーヴは本当に快感。たとえば2曲目「アフロノート」なんかではドラムスが、ビートが、主役じゃないですかね。ぼくにはそう聴こえます。すごくカッコいいですよねえ。そのほか6曲目「スターゲイズ #2 」、7「ミラーズ」、8「インタープラネタリー・マイグレイション」なんかでもすごいドラミング。

(written 2020.8.13)


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