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コンテンポラリー・ジャズに生まれ変わったビョーク 〜『ビョーク・イン・ジャズ』

(2 min read)

v.a. / Björk in Jazz: A Jazz Tribute to Björk

15組の現代ジャズ・ミュージシャンたちがビョークのソングブックを解釈した、オリジナル・アルバムっていうよりコンピレイションなのかな知りませんが、『Björk in Jazz: A Jazz Tribute to Björk』(2022)がちょっといい。ビョークがどうっていうより現代ジャズのサンプラーとして楽しいです。

演者に知っていた名前はほとんどなく、かろうじて2曲目のカミーラ・メサと4曲目のグレッチェン・パーラトだけでした。1993年ソロ・デビューのビョークを聴いて育った若手世代のミュージシャンたちなんでしょうか?

原曲いかんにかかわらずジャズ・インストルメンタルになっているものがいくつもあって、ビョーク・オリジナルの姿なんてすっかり面影もないという演奏だって聴けます。ぼくはコンテンポラリー・ジャズよりビョークのほうに思い入れがある人間なんですけどね。

それでもオッと耳をそばだてる演奏もあって、たとえば8「Army of Me」のヤロン・ヘルマン。フランス系イスラエル人のジャズ・ピアニストみたいです。11「Hyperballad」のフォックス・キャプチャ・プランもいいな。日本のピアノ・トリオのよう。

ラスト15曲目「All Is Full of Love」のピアノも抒情的でステキ。ビル・カンリッフというUSアメリカ人ジャズ・ピアニストで、この音楽家はビョークよりベテランですね。

これら以外だって、ヴォーカルものもふくめ、現代ジャズとして聴くときに目立つのは特にドラマーの叩きかた。ビート・メイクの手法はビョークをはるかに超え、ヒップ・ホップを通過したからこそのコンテンポラリーなもの。もちろんそれを(打ち込みじゃなく)楽器人力演奏で実現しているんです。

(written 2023.3.12)

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