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しんどいとき助けになる音楽(58)〜 ノナリア

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NonaRia / Sampul Surat Nonaria (Sebuah Persembahan Untuk Ismail Marsuki)

インドネシアの三人組、ノナリアの2020年作『Sampul Surat Nonaria (Sebuah Persembahan Untuk Ismail Marsuki)』がこれっぽっちも話題にならなかったのは、ひとえにフィジカルがないからでしょう。こんなにも楽しい音楽なのに、なんということでしょう。もったいない。

もちろんノナリアを話題にしそうな界隈は、サブスクなんて…っていうことでしょうけど、一作目(はCDが日本にも入ってきていた)よりもさらに楽しさを増した音楽なんですからねえ。ここまでぼく以外全員がガン無視っていうのはちょっとおかしい。

SP時代のレトロなスウィング・ジャズ・ポップスをそのままコンテンポラリーに継承したみたいなノナリアは、本人たちの自覚いかんにかかわらず、間違いなく2020年代的ワールド・ポップスのムーヴメントと完璧にシンクロしています。

それは国際都市ジャカルタの持つ余裕と洗練といえます。同地における1950年代ごろのジャズ歌謡センスがいまに生き続けていることを実感させるもので、こうした音楽がジャカルタではとだえることなく命脈を保っているのでしょうね。

だから、一回消えて懐古的に復活したということではないので、レトロというよりヴィンテージということばのほうがふさわしいかもしれません。適度なラテン・ビートの活用も楽しくて、それだってむかしからジャズが持っていた要素をそのまま維持しているっていうことです。

ノナリアのばあい、ちょっぴりのイモくささというかのんびりのどかなフィーリングが聴きとれるのも特色ですね。決して性急だったり激しかったりとんがっていたりなんてことがないのは、いまのぼくの気分にピッタリ。

(written 2023.11.29)

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