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たぶん一生聴ける 〜 ニーナ・べケール『ミーニャ・ドローレス』

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Nina Becker / Minha Dolores: Nina Becker Canta Dolores Duran

都会の音楽が好きという記事を書こうとしてプレイリストをつくったとき、ふと思いついてニーナ・べケール(ブラジル)の2014年作『Minha Dolores: Nina Becker Canta Dolores Duran』も入れておいたんですが、流し聴きしていると最高に快適なのを、いまさらですが、またまた再確認しちゃいました。

Spotifyにあるニーナは全作聴いてみたものの、こんなアルバムほかにないですもんね。傾向がだいぶ違うっていうかMPB路線で、なかには前衛的でシャープなものもあったりして。決してよくないとは思いませんし、一つは記事にしました。

ですけれど『ミーニャ・ドローレス』は別格の、スペシャルな、心地よさ。保守的っていうか従来路線っていうか要するにぼく好みの古典派コンサバ音楽なのがいい。基本七弦ギターとバンドリンの二人だけ伴奏だっていうショーロな落ち着いたシンプルさもまたみごと。

ボサ・ノーヴァ勃興直前サンバ・カンソーン時代の人物ドローレス・ドゥランの曲をつづるヴォーカルもまろやかなおだやかさ。適切なぬくもりと湿り気を感じるちょうどよき声で、ニーナはふだんの姿から衣替えしてレトロにシフトし成りきっています。

いやレトロっていうかこうした静かで淡々と落ち着いた歌謡音楽は不変の魅力をいつの時代でも放っていて決して色あせないものなんじゃないかと思います。社会や人間がどう変わろうともチャームを失わない音楽で、さわやかなクールネスとほどよい官能が同居するこのアルバム、たぶん一生聴けるはず。

(written 2023.4.2)

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