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ジャズ・ボッサでビートルズ 〜 オス・サンビートルズ

(3 min read)

Os Sambeatles / Os Sambeatles

これまたディスクユニオンのツイートで出会った作品。だから日本語情報がいま読めず。それでも音楽が極上なので書けると思います、オス・サンビートルズの『オス・サンビートルズ』(1966)。今年LP復刻されたということで知りました。

ビートルズ・ナンバーの数々をジャズ・ボッサにアレンジしてインストルメンタル演奏しているもので、中心人物はブラジルのピアニスト、マンフレッド・フェスト。渡米直前の1966年に製作・リリースされました。

ですからビートルズ楽曲といってもそこまでのものということなんですが、それでよかったかもと思える内容です。スタジオ作業中心になってからの後期ビートルズには一筋縄ではいかない複雑な曲も増えてきて、ジャズ・ボッサなんかにアレンジしにくいですからね。

もとがどんな情感の曲であろうとも、おだやかにくつろげる軽快なサロン・ミュージックに仕上がるのがジャズ・ボッサの美点。なので、ひとによってはどれ聴いてもおんなじじゃんっていう感じかもですが、ビートルズだってこうなれるというのはたいした消化力で、ぼくは大好きですね。

1曲目「キャント・バイ・ミー・ラヴ」から楽しくて、ややにぎやかで細かなビートをドラマーが刻み入れているのが快感です。2「ミシェル」ではオルガンも弾かれています。3「ア・ハード・デイズ・ナイト」ではサビ部分でさっとリズム・パターンが変化するのも一興。

4「ガール」は冒頭でチェレスタが登場。原曲のやや淫靡だった味をここではかわいらしいムードに変換しています。5「ティケット・トゥ・ライド」6「アイ・シュド・ハヴ・ノウン・ベター」は、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」とならぶ本アルバム最大の聴きどころ。これらで聴ける軽めだけど確かなビートこそ、ぼくには楽しいのです。

7「ヘルプ」がかなり愉快なムードになっていて、途中4ビートになったりもしているし、原曲を知っているとずいぶん変わったなと思うところでしょうね。歌詞の意味を重視する歌手はシリアスな曲調に転換してスローで歌うこともあっただけに、そんなところからはちょっと想像できないムードです。

ところで8「イエスタデイ」で疑問に思うことがあります。このトラック、なんと12分以上もあって、あれっ?と思いながら聴いていると、9曲目以下の「オール・マイ・ラヴィング」「アンド・アイ・ラヴ・ハー」「アスク・ミー・ワイ」「イフ・アイ・フェル」が同じトラックのなかに続けて流れてくるんです。

9トラック目以下、それらの曲はちゃんとまた一個づつ出てくるので、なにかのミスだったんでしょう、Apple Musicでも同じになっています。オリジナル・レコードからそうだったとは思えませんが、しかし本作、サブスクにあるのは盤起こしだし、あるいは復刻LPのミスなんでしょうか。

(written 2022.7.27)

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