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ナベサダ in 南ア 〜 マッコイ・ムルバタ

(2 min read)

McCoy Mrubata / Hoelykit?

bunboniさんのご紹介で知りました。感謝ですね〜。

っていうのは1曲目がもろ「オレンジ・エクスプレス」そのものじゃないかっていうことだけじゃありません。マッコイ・ムルバタ(南アフリカ)の『Hoelykit?』(2000)は全体的にフュージョン・アルバムだと思うんですよね。

それも渡辺貞夫さんが『マイ・ディア・ライフ』でポップ・フュージョン路線に転向するちょっと前、1970年代前半〜なかごろにやっていた音楽にそっくり。フュージョンというのはもちろんジャズとアフリカ音楽の、ってことです。

いうまでもなくマッコイが貞夫さんっぽいというのは順序が逆であって、こうしたアフリカン・ジャズがまずあって、なんどかの現地訪問でそれを学んだ貞夫さんが自分の音楽にとりいれたということ。マッコイの本作も南ア・ジャズの伝統を受け継ぎ、現在活況の同国新世代ジャズ・シーンへとそれをつなげた傑作でしょうね。

個人的に特にグッと胸に迫るのは終盤8曲目からの三連続。ジャズ〜フュージョンらしさ満開で、貞夫さんがどのへんのアフリカン音楽から吸収したかモロわかりな、つまり言い換えればぼくみたいに貞夫フュージョンからまず聴いていたファンには既聴感ばりばりで、親しみやすく。

なかでも8曲目での熱いジャジーなソロの連続にはトキメキます。4/4ビート・パートと8ビート・パートを行き来するリズム・アレンジもいいし、その上でフリューゲル・ホーン、サックス、ピアノ三名のソロもはじけています。ピアノのアンディル・イェナナは印象に残ったので、名前をおぼえておきましょう。

世界的にみても1980年代のフュージョン・ミュージックが多ジャンル混淆的な21世紀新世代ジャズのいしずえを築いたことは明白なんですが、マッコイの本作も、現在の南ア新世代ジャズの活況を考えるとき、その先駆けとなったことは疑えないですね。そんなこと言わなくたって、これじたい楽しいですし。

(written 2022.12.7)


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