ハート・メルティングなレイヴェイの新曲にぞっこん
(3 min read)
Laufey / Let You Break My Heart Again
以前五月にとりあげたレイヴェイ。レイキャビク出身の中国系アイスランド人で、現在は米ボストンのバークリー音楽大学に在籍中のジャズ系シンガー・ソングライターです。ほんとうにすばらしい声なんですよねえ。
そんなレイヴェイの新曲が8月13日に出ました。「レット・ユー・ブレイク・マイ・ハート・アゲン」。やはり自作曲ながら、今作はフィルハーモニア・オーケストラとの共演になっていて、瀟洒に攻めるレイヴェイに、もはや心がとろけてしまいそう。
YouTubeでもこの曲はオフィシャルに聴けるんで、そちらのほうがいいというかたがたにはぜひそちらでお聴きいただきたいと思います。そっちには各種クレジット関係もしっかり記載されているのでいいかも。
とにかくですね、このレイヴェイの書いた曲とヴォーカルと、それからたおやかな管弦楽のサウンドが、もうこりゃたまらん!ほど美しいじゃないですか。こんなにもきれいな曲、それも2021年の新曲としては、ほかにないんじゃないですか。すくなくともぼくが出会ったなかでは今年No.1に美しい曲です。
しかし曲題でもわかりますし歌詞をしっかり聴けば、これはロスト・ラヴの歌なんですよね。つらく苦しく哀しい内容の歌で、それをこんなにもやわらかくしなやかなメロディでつづることのできるレイヴェイのソングライティング能力には感嘆の声しか出ませんね。
ギターやチェロも弾きながら歌うヴォーカルも、この歌手ならではの独自の仄暗さというか落ち着きがあって、歌の内容やメロディの美しさをきわだたせています。+イアイン・ファリントンがアレンジしたフィルハーモニア・オーケストラのおだやかで美しい響きも、まるでちょっとガーシュウィンの作品を想わせるできばえで、みごと。
レイヴェイは、まるでちょうど100年くらい前ごろのティン・パン・アリーの歌の世界を2021年によみがえらせてくれているかのようですよ。ああいった大作曲家たちの書いたラヴ・ソングの数々と比べても遜色ない、現代においては比類なきシンガー・ソングライターだと言えます。
(written 2021.8.17)