見出し画像

レガシーを越えて、新しいスポーツチームを【LDLバディ・インタビュー 多田さん】

 今回は、私の所属しているまちづくりの実践者コミュニティー「Locally Driven Labs(以下、LDL)」のメンバーの多田創一さんを紹介したいと思います。LDLはまちづくりの第一人者木下斉さんが所長を務めます。LDLの説明はメンバーの岡崎さんがまとめている記事をご覧ください。

 これまでのLDLメンバーのnote記事はこちらにございます。

1.多田さんについて

 多田創一さんは現在30代で弁護士のバックボーンを持ちながら、震災復興、2019年ラグビーワールドカップをきっかけに釜石のラグビーチームの再建に関わっています。ラグビーワールドカップでは、釜石が会場となりました。現在、社長に近い立場で、チーム運営に携わっています。

 スポーツに疎い私でも、テレビなどで「釜石=ラグビー」というワードを聞いたことがあったので、地方でがんばってうまくいっているチームだと思いましたが、なかなか厳しい状況だそうです。

 新日鉄釜石の日本選手権7連覇があったのが1979~85年、その後、2001年にクラブチーム化し、釜石シーウェイブスRFCが設立されます。

 1980年時点で約65000人の人口がいた釜石市は、2000年時点では約46000人、2022年7月には約30800人となっています。ラグビー強豪であったころは人口も多かったのですね。それが約半分となってしまっています。

2.世代交代の難しさ

 多田さんの感じる難しさは、世代交代です。今の釜石のチームは、運営しているのが7連覇を知る50歳代の人が中心。ラグビー自体の知名度はあるが、企業チームからクラブチームに変わってから、時代に合わせた仕事を回す力も経験もまだまだだそう。釜石市自体も、人口流出も、高齢化もしており、状況も刻々と変わっています。

 釜石が栄えたのは、製鉄業の繁栄があります。東日本の沿岸の製鉄所としては有数の規模で、太平洋戦争中には釜石が敵の艦隊から唯一砲撃を受けたというお話も教えてもらいました。広島生まれの私は夏になるといろんな戦争の話を聞くことがありましたが、釜石の話は初めて聞きました。

 戦後も日本の復興を支えた製鉄業も、円高やバブル崩壊にともない徐々に衰退、地域も衰退していきます。

 今のラグビーチームの運営には、新日本製鉄の黄金時代を過ごした50歳代の世代、年齢層が高く、世代間のギャップを感じています。アスリートは、現実として限られた年数しか活動できず、現役引退後も仕事をしていく必要があります。7連覇を経験した世代では、終身雇用が中心。現役を引退後も企業に残り、会社に貢献されたそうです。

 そして、片や競技をする選手は20歳代の若者世代。セカンドキャリアも考えなくてはなりません。現在・日本製鉄に社名が変わっていますが、この企業に勤めるのか、スポーツ関係の仕事を選ぶのか、さまざまな進路の中から考えなくてはならず、葛藤を抱えることとなります。こうした選手に寄り添ったチーム運営も重要ですが、世代間ギャップが生じやすく、30代の多田さんが若者目線に立ってチームの改善点を考えていると言われていました。

3.勝央町との共通点

 私の働いている岡山県勝央町と釜石市と、遠く離れた地域で、やっている仕事も私と違う多田さんでしたが、話を聞いていくと、意外と共通点がありました。

・釜石市=製鉄業で繁栄した
・勝央町=工業団地で繁栄した

 この共通点から、場所は違えど、状況が近いことを感じました。こんな感じの話をしました。

 地域活性化に死に物狂いでがんばっている自治体に比べて、何となく「大丈夫だろう」みたいな感じがあって、産業も工業系の企業に頼っている感じがあります。昔の成功体験があるので、他の地域の新しい取り組みにあまり関心がない人が多い。住んでいる人も、地元の工場で勤めることがひとつのロールモデルになっていて、新しい感覚のある若い人は、都市部に行って帰って来ない。どちらの地域も地域を支えている企業の本部は東京などの都市圏であり、地元の仕事はいわゆる従業員です。ひょっとして、こうした雇用先がこの地域から撤退、縮小することになれば、どうなるのか…それは、地域全体で考える課題のようにも感じます。

 ちょっと違うところでいうと、釜石市は、昔の繁栄度合がかなり高く、その時の歴史や文化、レガシーもある。日本製鉄という大きな企業が地域を支えている。勝央町は、今も工業団地の経営状態は良好であり、新しい工場も増えたりしている。約20社ほどの複数の工場が地域を支えているということです。

4.LDLでの活動を通じて

 多田さんも私も、そんな状況に少し疑問を抱き、新しい情報にアンテナを張って、価値観の共有できる仲間を少しでも地域内で増やしていきたいという気持ちで、このLDLで活動をしています。お互い仕事と家庭と忙しく、LDLでの活動は少し停滞気味ですが、良い刺激を受けています。

 今回、8月のインタビューのお題は「木下所長のnote記事で印象に残っているもの」ということでしたので、多田さんにお伺いしたところ、少し意外な内容で、「キノネット」についてでした。こちらは木下所長が、ジャパネッ〇のようにお勧めの商品を紹介するコーナーです(木下さんが代理店をしている訳ではありません)。

 WEB会議用のマイクを購入する際に、木下所長の記事を思い出したということ。最近の記事をいくつかご紹介します。流行語「IT革命」受賞者である木下さんの最新IT機器を駆使したライフハックのノウハウや、出張、旅行の際の裏技的なコツを紹介してくださっています。紹介している商品は、木下さんの選りすぐりです。期待を裏切りません!参考にしてもらえると嬉しいです。

 今後も、いろんな方とバディーでお話できることを楽しみにしています。普段会えない地域、業種でまちづくりに関わっている方とつながることが楽しみに感じています!

 お読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?