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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#若手研究者

大学教員になりたい人へ Vol.2 ー日本学術振興会特別研究員に採用されると有利になる?ー

今回は大学教員になりたい人への第2弾になります。第1弾についてはこちらから確認してください。 さて、今回は大学教員になりたい人は日本学術振興会特別研究員になることを目指すべきかどうかという話です。ご存じの方には日本学術振興会特別研究員という長い名称よりも学振という略称の方が馴染みが深いと思います。 よく院生に聞かれるのは「学振になった方が就職に有利なのでしょうか?」という問いです。過去に私も学振だったことがあるので色々と聞かれることも多いのでしょう。今回はこの問いに対する私

大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。 大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。 この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。 正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。 とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なも

【大学教員公募】若手のチャンス時期

9月に入り、学生は夏休み真っ盛り、教員は研究・雑務真っ盛り、そして公募戦士は大方中休みの時期です。公募戦線の前半戦がほぼ終了したといってよいでしょう。 多くの若手研究者が一次選考のお祈りレターorメールをもらい、沈んでいることと思います。以前の記事でも書いたことがありますが、前半戦のほとんどが計画人事であり、経験豊富で(割と若めな)現職の教員がポストを奪っていきます。このため、若手や常勤経験のない公募戦士の多くが前半戦で散っていくのです。私が自分の公募戦線を振り返り、誰が着任

【大学教員公募】選考を通過しない人の特徴

 最近、研究者間の対面での交流がようやく復活しつつあり、私と同世代(20代、30代前半)の若手と語り合う機会が増えてきました。結婚や子育てといった研究外の話からアカデミックな話まで、色々なことを話しますが、一番盛り上がるネタはやはり大学教員公募に関する話でしょうか。採用から1~3年ほどしか経っていない、あるいは公募戦線真っ最中の人がほとんどである若手ならではの話題だと思います。  話していれば、悲しいかな、選考を通過しポストを掴んだ人と、なかなか選考に通過しない人の差が見えて

大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。 回りくどい

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大学教員になるためにすべきこと:公募の書類作成、面接、模擬授業に向けて(更新用)※2023年4月3日更新

 私が執筆した中で最も閲覧数が伸びているのは、大学・研究関連の記事です。大学教員公募に関する有料記事へのアクセスも伸びています。ご購入いただいた方、感謝申し上げます。  本記事は、1か月に1度くらいを目途に更新しつつ、私が執筆してきた大学教員公募、学振、研究関連の記事の道案内的な役割を目指すものです。トップに固定しているのは、こうした理由からです。  最後の部分では、私が公募戦線で戦うにあたり、特に参考にさせていただいた記事を紹介させていただきます。公募は、学問分野によって状

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます