"Plank the Curve" by Canadian Prime Minister Justin Trudeau 英文解説③

今回は、カナダ首相 Justin Trudeau のナレーションによるYoutube動画 "Flatten the Curve" の字幕英文テクスト解説の最終回となる3回目です。
この動画は、カナダ首相 Justin Trudeau が "flatten the curve" という言葉について分かりやすく国民に説明し、その目的のために国民1人1人が協力して役割を果たすように呼びかける内容となっています。
今回は、そのうち第4、第5パラグラフ本文を扱います。

今回の英文テクストの出典となっている動画

出典:Youtube動画、"Plank the Curve" の英語字幕
Youtube の Justin Trudeau – Prime Minister of Canada 公式チャンネル
によって、2020年4月6日 に公開。
※ この動画には、Creative Commons Attribution 3.0 Unported (CC BY 3.0)
License が適用されており、2次使用が認められています。

第4、第5パラグラフ本文

  But we also have to remember that COVID-19 can take up to two weeks after infecting someone for them to show any symptoms.  So the effects of self-isolating can only be seen on the curve a few weeks after we’ve all started doing it.  That’s why we’re asking everyone to keep staying home.  If we want to be okay in the coming weeks, then, as Dr. Tam says, we have to act now.
  Every Canadian has a role to play in planking the curve.  And if we all work together right now, we can make sure that all those who need the help of our health care professionals will get it.  I know that together, we can and we will get through this.

Key words, phrases, and expressions

○ Key words & phrases
take up to<時間・期間>to do:~するのに最大で<時間・期間>かかる
    ☆ COVID-19 can take up to two weeks to make infected people show
         any symptoms.   [本文の1文を改変] 
         COVID-19は感染者に症状を発現させるのに最大で2週間かかる可能性
         がある。
in the coming <数> weeks:今後<数>週間で、に
    ☆ in the coming few weeks:今後2、3週間で、に
play a role in ~:~において役割を果たす
    ※ in の後に動名詞をとる場合、play a role in ~ing の形になる。
    ☆ play an important role in flattening the curve
         曲線を平坦にする際に、重要な役割を果たす
work together:協力する
get through:【句動詞】<困難など>を乗り切る、切り抜ける
    ☆ get through this crisis:この危機を乗り切る
○ Key expression ①:only を用いた構文
S+only V~ after S'+V'・・・.:・・・してから[した後で]初めて~する
                                               ・・・してから[した後]でなければ、~しない
    ※ only は after の直前にきて、only after S'+V'・・・. となることもある。
  ☆ The effects of self-isolating can only be seen on the curve a few weeks
       after we’ve all started doing it.     
       自己隔離の効果は、私達みんなが実践し始めて2、3週間してから初め
       て曲線上に目に見えて現れる可能性がある。
      [2、3週間してからでないと、曲線上に目に見えて現れてこない可能性
          がある。]

○ Key expression ②:sure を用いた構文
make sure that 節:確実に[必ず]~になるようにする。
    ※ 文の主語とthat 節の主語が同じ場合は、make sure to不定詞 の形を
        使うことも可能。
  ☆ We can make sure that all patients of the COVID-19 will get the help of 
       our health care professionals.    [本文の1文を改変] 
       私達は、確実に、すべてのCOVID-19患者が我が国の医療専門家の助け
       を得られるようにすることができます。

第4パラ第1文

But we also have to remember that COVID-19 can take up to two weeks after infecting someone for them to show any symptoms. 

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ただ、COVID-19が誰かに感染してから、その人が何らかの症状を示すまでに、最大で2週間かかる可能性があることを覚えておく必要もあります。

第4パラグラフのトピックは、「国民が2週間のウイルス潜伏期間を認識しておく必要性」についてです。第1文では、そのトピックの提示が行われています。「潜伏期間」という言葉は直接的には使われていませんが、「誰かを感染させてから、その人が何らかの症状を示すまでに要する期間」というのは要するに潜伏期間ことを表していると考えてよいかと思います。
文頭の But の働くに関しては、第3パラグラフの内容、「『曲線を平坦にする』ために国民が果たすべき役割」を踏まえた上で、それを補足する内容を導入する働きをしています。

構文上のポイントは、that節内における以下の3点となります。
全体像としては、that節内において、
2つの副詞句 after infecting someone と for them to show any symptoms が、動詞 can take を修飾しています。
① take up to<時間・期間>to不定詞 の変形版の把握
    「~するのに最大で<時間・期間>かかる」
② 副詞句 after infecting someone に関して
③ 意味上の主語を伴う不定詞が導く副詞句 for them to show any symptoms.
    に関して

① この文全体としては、take up to<時間・期間>to不定詞「~するのに最
    大で<時間・期間>かかる」の構文が中心となります。
    ただし、この文では、そのto不定詞に意味上の主語を表す for<人>を伴
    っており for<人>to不定詞となっています。意味としては、
    「S は、S' が~するのに、最大で<時間・期間>を要する」となります。
    通常、この構文の不定詞に意味上の主語を伴う場合は、    
    It takes up to<時間・期間>for<人>to不定詞「<人>が~するのに最大
    で<時間・期間>かかる」 という形の形式主語構文になりますので、やや
    変則的と言えます。上の Key words & phrases では、より分かりやすい例
    文に改変して示してありますのでご参照下さい。

② 副詞句 after infecting someone「誰かに感染してから」に関しては、 
    infecting の意味上の主語は、コロナウイルス感染症Covid-19 です。
    副詞節に直すと以下のようになります。
    after it[=Covid-19] infects someone

③ for them to show any symptoms「その人が何らかの症状を示すのに」
    に関して、不定詞の意味上の主語を表す for them の them は直前の
    someone「誰か」を指しています。副詞的用法の不定詞の意味上の主語が
    文の主語と異なる場合は、for<人>to不定詞の形になります。

第4パラ第2文

So the effects of self-isolating can only be seen on the curve a few weeks after we’ve all started doing it. 

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従って、自己隔離の効果は、私達みんなが実践し始めて2、3週間してからでないと、曲線上に目に見えて現れてこない可能性があります。

第2文は、第1文で導入されたトピック「国民が2週間のウイルス潜伏期間を認識しておく必要性」を受けて、そのウイルス潜伏期間が曲線に与える影響について書かれています。

構文上のポイントは、Key expression で取り上げた、
S+only V~ after S'+V'・・・.:・・・してから[した後で]初めて~する
                                               ・・・してから[した後]でなければ、~しない
です。この文では後者の意味で訳しました。
時を表す副詞節、after we’ve all started doing it「私達みんなが実践し始めてから」の直前に a few weeks がついており、「~し始めて2、3週間してから」となっています。

第4パラ第3文

That’s why we’re asking everyone to keep staying home.

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そういうわけで、我々は、すべての国民に、自宅に居続けるように要請しているのです。

第3文では、第1文、第2文を受けて、そういうわけで、自宅に居続けるよう再度強調して国民に要請しています。

構文上のポイントは、
・ask <人> to不定詞「<人>に~するように頼む」
です。ここでは現在進行形になっています。

第4パラ第4文

If we want to be okay in the coming weeks, then, as Dr. Tam says, we have to act now.

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もし、私達が、今後数週間後に、普段の生活に戻っても問題のない状態にしたければ、タム先生の言うように、今すぐ行動しなければなりません。

第4文では、第3文を受けて、タム先生の言葉を引用して、自宅に居続けることは、国民の行動すべき義務である、と述べられています。

構文上のポイントは、
・If~, then・・・の条件を表す構文の、主節を副詞節 as Dr. Tam says, が修飾し
   ている点です。

第5パラ第1文

Every Canadian has a role to play in planking the curve. 

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すべてのカナダ国民各自に、曲線を平坦にする際に果たすべき役割があります。

第5パラグラフでは、この英文テクストの結論が述べられています。
第1文では、第3パラグラフ第1文 we need you to keep doing your part. を言い換えて、国民各自に果たすべき役割があることを再確認しています。

構文上のポイントは、
・名詞句 a role〔to play (in planking the curve)〕の把握
です。不定詞の形容詞的用法が導く形容詞句〔to play (in planking the curve)〕が a role を修飾している点は解説図で分かるかと思います。
この名詞句の意味を把握する上で、Key words & phrases で取り上げた、play a role in ~ing の形が認識できるかが1つのポイントとなります。
この名詞句を元の、動詞+名詞の形にすると、
・play a role in planking the curve
となります。
なお、この planking はflattening と同じように意味で用いられています。

第5パラ第2文

And if we all work together right now, we can make sure that all those who need the help of our health care professionals will get it.

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そして、もし、私達みんなが今すぐ協力すれば、確実に、我が国の医療専門家の助け必要とするすべての人々がその助けを得られるように、することができます。

第2文は第1文につなげて、その役割を果たすことにおいて、すべての国民が協力する必要性を述べています。

構文上のポイントは、次の2点です。
① Key expression で取り上げた make sure that節
② that節の主語となる長い名詞句、
     all those〔who need the help of our health care professionals〕の把握

① に関しては、Key expression を御参照下さい。
② のthat節の主語となる長い名詞句に関しては、まず
    名詞+関係詞節の those〔who~〕が people〔who~〕「~する人々」
    意味になるという点がポイントです。
   all those〔who need~〕「~を必要とするすべての人々」となります。
   そして、関係詞節の動詞need の目的語が
   名詞句 the help〔of our health care professionals〕となっています。
なお、that節の目的語 it は関係詞節の目的語 the help を指しています。

第5パラ第3文

I know that together, we can and we will get through this.

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私には、私達みんなが協力し合えれば、この難局を乗り切ることができる、そして、きっと乗り切るだろう、ということが分かります。

第3文は、この Justin Trudeau カナダ首相のスピーチの締めとなる言葉で、国民が協力し合ってこの難局を乗り切ること、そして、それは必ず実現可能であることを訴えています。

構文上のポイントは、
① that節の together, の解釈
② that節の and がつないでいる語句
です。

① that節の together, は、第2文の  if we all work together と同じ意味で
    条件の意味を表すと解釈するのが適切かと思います。
② that節の and は上の解説図で示したように、we can と we will をつないで
    います。
なお、this は、このパンデミックによる危機的な状況を指しています。
ここでは、「この難局」と訳しました。

今回の解説全体図

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今回も、最後まで解説をご覧頂き、本当にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
もし、何かお気付きの点などございましたら、コメント、メッセージなど頂けると大変ありがたく存じます。
次回は VOA Learning English または、VOA News の英文記事のテクストで易しめのものを取り上げる予定にしております。

現在、英語教育関連職を希望して求職中の身ですので、気に留めて頂き♡やフォロー、twitterかnoteでのコメントなど頂けると大変励みになります。
今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

もし、英語教育、英語教材関連のお仕事に関して、何か私にお役に立たせて頂けそうなことがあれば、ご連絡を頂けると大変幸いにて存じます。

なお、私は、過去に、市販の青山・立教大英語入試対策問題集に掲載されている、New York Times の記事が出典の900語超の立教大過去問英語長文問題の解説執筆、ICU英語入試対策問題集に掲載されている、ICU過去問英語長文問題の解説の分担執筆の経験があります(ともに、翻訳、語句注、論理チャート、設問解説の執筆)。
また、市販英検2級対策問題集の共著者の1人として、英検2級過去問リスニング問題の解説執筆に携わらせて頂いた経験もあります(簡潔な設問解説と語句注の執筆)。


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