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LEONIEとマイレオニーの旅26

特殊メイクを担当したケビン・ヘイニー

『レオニー』の制作過程で特筆すべきは、何と言っても本場の特殊メイクの技術でした。何人ものメイクアップアーチストをインタビューして、ケビン・ヘイニーが「僕の代表作?もちろん89年にアカデミー作品賞を受賞した『ドライビング・ミス・デイジー』だね。なぜなら僕もあの作品でメイク賞をとったから」と聞いて、あのジェシカ・ダンディーの自然な老女のメイクを思い出し、迷わずケビンを採用したのでした。

レオニーの老けメイクはハリウッド映画技術の粋

この回のカバー写真は、映画の冒頭シーン。天国から瀬戸内海の海辺に舞い降りたレオニーが海岸を歩くカットは直島での撮影でした。
毎日の撮影の開始時間が7時とすると、私たちスタッフが準備のために現場に集合するのは午前6時。レオニー役のエミリーは特殊メイクのために、夜中の2時から控室の鏡の前に座り、5時間かかる特殊メイクが始まるのです。

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メイクアップアーチストのケビンは毎朝、エミリーよりもさらに早くメイク室に入って、準備に余念がありません。

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クランクイン前にエミリーの顔と首に合わせて、石膏でとった型。毎回この型の上にシリコンを流し込んで、その日の皮膚のパートをつくるのです。

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午前2時。女優さんがやってきて鏡の前に座ると、

その日も5時間にわたる特殊メイクが始まりました。メイクをした後は撮影が終わるまで一日中、皮膚呼吸をすることもできません。今にして思えば、そのとき彼女は妊娠中だったのですから、どんなに過酷な重労働だったことでしょう。
でも、そんな彼女から苦情を聞くことは一度としてありませんでした。

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このようにしてシワのあるシリコン製の皮膚をパートごとに貼っていきます。

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シリコンの皮膚を貼り終えると、顔と首にシミを吹き付けていきます。

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もちろん手のエイジングのためにもシワが吹き付けられていき、

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手のシワも丹念に書き込まれていきます。

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今日も最高の出来上がりに、ケビンも大満足!

ヘアは、すべて人毛でつくられた唯一無二のカツラ

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エミリーが被ったカツラは全編通してオーストラリア在住のヘア・アーチストNoriko Watanabeが人毛を一本一本植えてつくったもの。

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マイクが終わると、カツラをつけるのはメイクの藤懿祐美子さんの仕事です。

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メイク開始後5時間で、63歳のレオニーの出来上がり!

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エミリーがメイクをしている間、スタッフはスタンドインの大田エミリーさんをスタンドインに撮影のコンテに合わせ準備を進めます。

午前7時。メイクが完成した主演女優が現場に到着

その日撮るカットのカメラワークの説明を受けます。

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ケビン・ヘイニーは撮影中も目を離さず、本番前のリタッチを繰り返しました。

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その日の撮影が終わると、なぜか撮影監督の永田さんがケビンのスナップ写真を撮ってました。

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では、私も一枚!今日も一日、お疲れさまでした〜!


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