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オンラインショップセレクション ひなた農園 06

少し前に、友人から「学校給食を有機野菜で作るのってどう思う?」と聞かれました。
その時の私は、「農家の視点から言うと、無農薬で野菜を作るのは難しく、給食に必要な分の野菜まで補うのはすごく難しいと思う。」と答えました。それから、気になって勉強していくと色々なことが分かってきました。
今回のコラムだけでは書ききれないので、少しずつ食や農業の現状についてお伝えできればと思っています。そして今回書くことは知らない方にとっては衝撃的な事もあるかもしれません。この事で怖がらすつもりではなく、これを読んで下さった方が、色々な事に気が付き、考えるきっかけになればと思い書きました。何かを感じとってくださった方は、これを鵜呑みにせず、ご自分でも一度調べて考えてみてください。

まず衝撃的だったことは、多くの輸入の小麦粉、小麦製品からは残留農薬が検出されるということです。(日本の残留農薬の基準はクリアしています。)
カナダやアメリカで大規模に生産されている小麦はプレハーベストと言って、小麦の収穫前に除草剤を小麦に直接散布することで小麦を枯らし、収穫を簡単にする方法が行われています。 これを行う事によって、残留農薬の値が格段に増えます。国産の小麦の栽培ではこのプレハーベストを行う事を禁止しているので、残留農薬はほとんど検出されていないようです。
いま世界では農薬は健康を害するという認識から、農薬の使用を規制して減らしていこうという傾向にあります。そして日本はというと、この世界の流れとは逆行して、輸入に頼っている作物に関して農薬の残留基準値を大幅に緩和しました。例えば、2017年から小麦粉は今までの基準の6倍、そばは150倍、ゴマは200倍緩和されています。

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*参考情報1

これらから検出される農薬というのは、ホームセンターでよく見かける除草剤に含まれるグリホサートという成分です。グリホサートは発がん性があるとされています。この薬は植物を枯らす為のものですが、同様に土壌細菌や腸内細菌も破壊してしまうという研究結果がでています。腸内環境を破壊することで、アレルギーや自己免疫疾患などの原因や、神経毒として自閉症や認知症も誘発する可能性があるともされています。そしてマウスの実験では3世代後に色々な影響が出てくるという研究結果もあります。このような可能性があるとされている農薬であれば、規制や禁止する国があるのは納得できます。
小麦を日本に輸出したい国からすると「日本では除草剤もホームセンターで買えるしあまり規制もかかっていない、そして国民はこれの害についても知らない人が多い。残留農薬の規制が厳しい国が増えて輸出できない国が増えているけど、日本は残留農薬の基準を緩和してくれたから日本に売ろう!!」ということで、日本に沢山輸入されています。輸入小麦に頼っている食品は沢山あり、給食のパンもその1つで、検査をすると農薬が検出されるそうです。もちろん、検出される農薬は日本では基準以内ですので、違法ではありませんが、大幅に緩和された基準値内であって、農薬の規制に取り組み始めている国では基準値を超えた数字なのです。

*参考資料2 PDFの形でしか添付できず、すみません。ご興味のある方はクリックしてください。米に使われる農薬の国別残留基準値の比較です

この10年間で世界的に有機農産物の売り上げが2倍にもなっているそうです。私自身、無農薬の野菜を作っていて大変な事が沢山あります。できると思っていた野菜が虫によって全滅したり、病気にかかって出荷できなかったり、変な形のものばっかり出来てしまったり。どうしても農薬を使った慣行農法と比べると生産性は低く、効率も悪いです。ですので、頭ごなしに農薬が悪い!とは言い切れません。世界の食料は慣行農家さんによって支えられていると思っています。でもよく考えてみると、90年前まで農薬はなく、それまでは皆、米も、大豆も、小麦も、野菜も無農薬で作っていたはずです。今ではそんな話夢のようで信じられません。農薬を使い始めてからの約100年で私たち人間がしてきた事は、あまりにも人間本位のように感じてしまいます。楽に沢山の食べ物を作れるようになった反面で日々大量のフードロスを生み出しています。世界では毎年40憶トンの食料が生産されるそうですが、これの約1/3にあたる13憶トンがフードロスとして廃棄されているそうです。農薬を使うことにより土や水が汚れ、そして食べ物は大量に廃棄され、それはゴミになりまた地球を汚す...考えると恐ろしい悪循環です。
そしてこの何十年、ガンなどの成人病、発達障害、アレルギーなどで悩む方が急増していますよね。それには色々な要因があると思いますが、農薬による影響がないとは言い切れないように思います。今世界のいろいろな国で既にそれに気が付き改善しようとしています。

少し挙げてみますと
2016年 イタリアでは公園、市街地、学校、医療施設周辺などでのグリホサート使用禁止、農業での収穫前散布禁止を決定。
2017年 フランスは22年までにグリホサートを禁止する方針を発表。
      アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアはグリホサートを禁止
2019年 チェコは収穫前の乾燥目的の使用も含めてグリホサートを禁止。
      オーストリアはグリホサートの全面禁止法案を可決
      ドイツは23年までにグリホサートを全面禁止にする法案を決定。
2020年 ルクセンブルクが20年末のグリホサート禁止を発表。
      フィジーはグリホサート禁止を20年12月31日からと決定。
      タイはグリホサート使用規制強化の実施を決定
      メキシコは24年までにグリホサートを禁止するために段階的に使用削減に取り組んでいると声明を発表

かなり遅れをとっている日本ですが、1人1人が意識すればグリホサートの規制など何かが変わるのではないでしょうか。田舎にいると草刈が大変だからと除草剤を当たり前のようにまく方が沢山います。この当たり前とされている事から何か変わればと思うのですが、ご近所のご年配の方には言いにくく、目の前にある私の課題です。

今私たちの日々の食生活で全て残留農薬が無い物を食べるというのは不可能に近く、あれも食べちゃダメ!これも食べちゃダメ!と言っている分けではありません。これを読んで下さった方が、いつも当たり前に思っていた事に、少しでも疑問を持ち、現状を知って、その上で日々自分が食べているものはどういうものか、何を食べたいか選択するのが一番ではないかと思います。

本当は、今少しずつ全国で立ち上がっている学校給食、保育園の給食に有機野菜を使おうという動きについても書きたかったのですが、それはまた次回に。

参考情報 
*1平成29年厚生労働省告示第361号
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/1225-2.pdf

*2添付したのは農水省の委託事業で主要輸出先国・地域の残留農薬基準値調査を調査したものの米に使われる農薬の国別残留基準値の比較です。赤いところは日本より基準が厳しいところ、つまり世界はほとんど日本より基準が厳しくなっているということ。米以外も同様の傾向で、すべてのデータは以下からダウンロード可能です
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_r1_zigyou/attach/pdf/e_r1_zigyou-29.pdf

ひなたみか

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