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第21回書き出し祭り 感想

<注意事項>
・感想依頼は受け付けていません
・タイトルをざっと眺めてみて、気になる作品に突撃します。タイトルで選り好みした結果、あまりにも読んだ作品数が少なくなるようであれば、あらすじとかも見たりします。
・読んだ順で感想を書きます
・私は普段から他人の作品をあまり読まないし、最初から「感想を書く」つもりで読み始めるので、頓珍漢で「こいつ何言ってんねん」みたいなことがあるかもしれませんが、温かい目で見てやってください
・たくさん作品読むのはシンプルにしんどいのでmax20作品くらいの気持ち
・なるべくここはいいなあ……というのを言うつもりですが、やんわり気になるところも言います

それではスタート~

21-1-10 博士の『異常』な愛情

『博士の愛した数式』っぽさがあって気になった。
設定がすごく練られていて、あらすじからもかなり先まで話を考えてるんだろうなあ……というのが何となく分かりました。私は先を見越して長編の話を組み立てるのがあんまり得意じゃないので、そこはすごいと思います。

ただ、ちょっと地の文が多すぎかもなあ……。思想の強さを感じて、作者の「好き」がめちゃくちゃ詰め込まれてるのも分かるのですが、それゆえに主人公に関する描写とか、どういうことを考えているのかみたいなのが、片鱗でも見せてもらえればよかったな……と思ったり。一言でまとめると「むつかしい……」というのが感想。

21-1-16 尻尾が生える

設定はすごく面白くて好きです。異能力のシステムや人型の異種族の力の仕組みをどのように説明するか、どんなからくりを仕込むかは作者の技量に左右されますが、尻尾が生えるというぱっと見可愛い感じの皮をかぶっておいて、結構グロテスクな尻尾でしたと言ってくるところがユニークに感じましたね。

一方、前半の報告書調の文章、あれは尻尾が一体何なのか、どんな世界観なのかを説明するのには適しているのかもしれませんが、ちょっと説明くさすぎるかもしれませんね。これが普通の長編作品ならこういうやり方もありなのかもしれませんが……。

もはや書き出し祭りは「書き出しが100個並んでいる」というある種異常な状況の中で、目を引く面白い作品を提供しないといけない場なので、普通に長編を書くのとは違ったスキルが要求されているように感じます。私の個人的な意見ですが、「書き出し祭りでウケる作品」をそのまま連載してウケる保証は正直ないと思います。それってもはや違う競技になって趣旨変わってない?どうなの?とは思いますが、まあこの作品に関係はありませんね。

あとは段落区切りすぎじゃない?とか、2話目どういう展開になるのかあんまり見えなかったとか、いろいろありますが、それは場数を踏めばどうにでもなるので。とにかく題材は面白かったです。

21-2-24 ガール・ミーツ・ミート

meets(出会う)にmeat(肉)がかかっているのがいいですね。ベタな韻の踏み方ですが、そこから話を広げられるところがいい。
正直なところ、「町のお肉屋さん」にちゃんと行った経験がないし、どんな感じで肉を切り分けて売っているのかを本作品で知ったので、これから美紅がどういうふうに成長していくかと同時に、どれくらい専門的な話が展開されるのかというところも楽しみです。そう考えると、主人公の成長を描くという、王道的展開をちゃんと踏襲できているあたり、上手いなあと思います。奈良ひさぎ作品の主人公が明確に成長する描写、あんまりないから……。

21-3-01 モリアーティの系譜

モリアーティってどっかで聞いたことあんな……と思ったら、ホームズシリーズの悪役でした。コナンで聞いたことあるのかな?推理ものに関してはその程度の知識です。
モリアーティ、Mori a tea、森一茶……なのかな?と考えていました。江戸川乱歩もエドガー・アラン・ポーのもじりですし、二葉亭四迷も「くたばって仕舞え」のもじりだったり、そういう言葉遊びがある名前とか作品は面白いですよね。まあ、teaは不可算名詞なんでa cup of teaとかになるんですけど……。
加えて孫和人もワット、ワトソンに通ずるということは、西岩さんも何かからくりがあるのかな?と思ったらシャーロック・ホームズか!あーすっきりした。いや、西をシャーって読むのそれ麻雀やん。

とまあ名前のからくりだけで満足感が高かったんですが、話の展開も単なるミステリー・サスペンスじゃなさそうな雰囲気があって、純粋に続きを読みたくなりました。今回の書き出し祭り、これで読んだのは4作品目になりますが、今のところ一番好き。なんかミステリ書きが書いてそうな雰囲気もある。誰がどの会場にいるかは、めんどくさいんでやらないですが……。


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